
「7回好機に代打細川、ブライト温存はあり得ない」横浜DeNA藤浪晋太郎が「ピンチを楽しむ」メジャー流発想で移籍初勝利もSNSやネットは7回0封された中日の8人左打者を巡って賛否
メジャーから横浜DeNAに途中移籍した藤浪晋太郎(31)が9月31日、横浜スタジアムでの中日戦に先発、7回102球を投げて4安打9奪三振無失点の好投で阪神時代の2022年9月23日の広島戦以来、1073日ぶりとなるNPBでの勝利をマークした。ただ藤浪の死球による怪我を警戒して、左打者8人を並べ、1点を追う7回一死二、三塁の勝負どころでも、代打に細川成也(27)、ブライト健太(26)らを送らなかった井上一樹監督(54)の采配を巡ってはSNSやネットで賛否が飛び交った。
3回までストライクが先行してパーフェクト。最速は155キロ
藤浪が初めてハマスタのお立ち台に上がった。
7回までゼロを並べて9つの三振を奪っての圧巻ショー。1073日ぶりとなるNPB復帰星をつかんだ藤浪は、興奮冷めやらぬ様子で「本拠地で横浜ファンの皆さんの前で勝てたのがすごく嬉しいです。余計なことを考えずに目の前のバッターに集中して自分のやるべきことだけを思いながら1イニング、1イニング重ねていった。何とか粘れて良かったです」と大きな声を張った。
三浦監督も「点を取られてないですからね。非常に良かった」と賞賛した。
8月17日の移籍初登板時に左打者を9人並べた中日は、2度目の対戦ではロドリゲスを除き、また左打者を8人並べてきた。
だが、「特に気にしていない」という藤浪は3回までパーフェクトである。
打者9人に対して初球にストライクを取れなかったのは一人だけ。1回二死からセーフティーバントで揺さぶってきた上林をスライダーで空振りの三振に仕留め、3回には、三者連続三振。唯一の右打者ロドリゲスにはスライダーがスバッ。宇佐見にはインローへ投じた153キロのストレートで仕留めた。
藤浪は、何度も雄叫びをあげ、ガッツポーズを作った。
4回には一死二塁から上林の足元に引っ掛けたボールをぶつけてピンチを招くもボスラーの左中間を抜けてもおかしくなかった打球を蝦名がランニングキャッチ。続く板山は、153キロのストレートで空振りの三振に仕留めて吠えた。
しかし、5回に、突然、課題の制球難が顔を出して崩れかけた。大島、ロドリゲスに8球連続ボールで連続四球。宇佐見の2球目にようやくストライクが入るとボテボテのピッチャーゴロに打ち取った。三塁へ投げればアウトのタイミングだったが、藤浪には走者を見る余裕すらなかった。一死二、三塁となって、打撃のいい松葉。
中日ベンチがセーフティースクイズでも仕掛けてくれば、嫌だったが、普通に打たせて、投手ゴロ。岡林もツーシームでセカンドゴロに打ち取ると、笑顔で”女房役”の松尾の肩を抱いた。
大阪桐蔭の10学年下となる後輩の松尾との息がピッタリと合っていた。
三浦監督が「(松尾)汐恩がよく引っ張った。詳しいことは言えないが、先輩、後輩関係なく、”来い”というジェスチャーも見られた」と称え、藤浪自身も「10個下と思えないくらいしっかりしていて、めちゃくちゃ引っ張ってくれてすごく助かりました」と感謝の言葉を伝えた。
互いに遠慮のいらない関係がベストな配球を引きだしたのだろう。