
「井上尚弥と戦うピカソは決して弱くはない。でもすぐ終わるんちゃいますか」7月に“戦った男”亀田京之介が12.27サウジでWBC1位を迎え討つモンスターの戦いに説得力のある証言
――井上をリスペクトしている?
「そりゃしていますよ。むちゃくちゃ強いじゃないですか。憧れではないですけど、井上チャンピオンを超えるつもりで今もやっています。この前のアフマダリエフ戦もそう。周りがなんと言おうと、オレは強いと思う。素直にね」
これまでの態度とは一変した。
亀田は、「SAIKOU×LUSH」の10月25日、キルギス大会で元3階級制覇王者のカシメロと対戦する。カシメロが1年のブランクがあることを差し引いても、またしても格上の相手だ。
「パワーはありそうだけど、小さいしオーラなんかなかった。井上チャンピオンのアフマダリエフ戦みたいに足を使って完全に勝ちにいきますよ。終盤にいじめてやります」
そしてその先に描いているプランがある。
「早く世界チャンプになりたい。フェザー級で世界王者になれば、井上尚弥がいずれ階級を上げてくるのはわかっているので、(対戦が)できんことはない。カシメロなんか余裕で倒して勝って、来年には世界へ行きたい。ネリ、あるいは、和毅を倒して世界ランクの上位に入ってアンジェロ・レオとやりたい」
ネリとの再戦、そして、いとこの元2階級制覇王者である亀田和毅(TMK)へ挑戦状を叩きつけた。仰天のプランだ。
京之介は、8月まで幼い頃から仲がいい亀田和毅が実質オーナーを務めるTMKの所属選手だった。ネリ、ピカソ戦のマッチメイクのサポートだけでなく、アドバイスなどももらっていたが、「和毅のところにいたら、どこかで甘えがある。成長できん。初心に戻って環境を変えたい」と、小学生の頃に通っていた大阪堺のMRジムに移籍した。和毅との対戦を念頭に置いて移籍したわけではないが、同門ではなくなったことで「できるでしょう」という。
これまでスパーを挑んでは「怪我するからやめとけ」と断られてきたが、「勝てる自信があった」と、禁断の亀田家マッチを熱望した。
「同じ階級やし敵みたいなもん」
実現できるかどうかは、不明だが、世界ランキングを勝ち取った先に狙うのが、その和毅が5月に大善戦したものの判定負けを喫したIBF世界フェザー級王者のアンジェロ・レオ(米国)だ。日本プロボクシング協会の内規で、日本、OPBF東洋太平洋、WBOアジアパシフィックのいずれかのタイトルを取らねば、世界挑戦はできない。現在日本王者が世界戦経験のある阿部麗也(KG大和)、東洋太平洋王者が中野幹士、WBOアジア王者が藤田健児(共に帝拳)と、世界ランカーの強豪が揃っている。世界挑戦切符をつかむには、いくつもの壁を乗り越えなければならない。だが、亀田京之介は、どこまでもポジティブだ。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)