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WBA世界バンタム級王者の井上拓真が初防衛戦で元IBF世界スーパーフライ級の“強敵”アンハカスを迎え討つ(写真・山口裕朗)
WBA世界バンタム級王者の井上拓真が初防衛戦で元IBF世界スーパーフライ級の“強敵”アンハカスを迎え討つ(写真・山口裕朗)

なぜ井上拓真は11.15両国V1戦で世界王座9度防衛の最強挑戦者アンカハスを選んだのか…「目標は兄がやった4団体統一。強い相手と戦わないと強くなれない」

 すでに発表されていたプロボクシングのW世界戦(11月15日・両国国技館)の記者会見が27日、都内のホテルで行われ、WBA世界バンタム級王者の井上拓真(27、大橋)が、IBF世界スーパーフライ級王者時代に9度の防衛を果たした同級6位のジェルウィン・アンカハス(31、フィリピン)と初防衛戦を行い、WBA世界フライ級1位のユーリー阿久井政悟(28、倉敷守安)が、王者のアルテム・ダラキアン(31、ウクライナ)に世界初挑戦する。またアンダーカードでは、元WBC世界バンタム級王者、辰吉丈一郎(53)の次男の寿以輝(27、大阪帝拳)が、那須川天心(25、帝拳)のボクシングデビュー戦の相手を務めた日本バンタム級11位の与那覇勇気(32、真正)と、54.5キロ契約の8回戦で対戦。なお試合はアマゾンプライムビデオで独占生配信される。

 「理想はカウンターでのKO勝利」

 

 井上拓真のV1戦。対戦相手はIBF世界スーパーフライ級王者時代に9度防衛したキャリア豊富なアンカハスだ。39 戦 34 勝(23KO)3 敗 2 分の戦績を持つ強打のサウスポー。2021年の大晦日には、現・WBA世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(志成)との統一戦が決まっていたが、新型コロナの影響で入国が制限されて流れ、その後、2022年2月にフェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)に判定負けして王座から陥落、10月にダイレクトリマッチで対戦したが再び判定で敗れた。減量苦だったためバンタム級への転級を決断し、6月に、そのテストマッチで5回TKO勝利している。 
「自分が戦ってきた中で一番強い相手。過去一、最高の仕上がりをしてしっかりと勝ちたい。この試合の内容で真価を問われる。アンカハスはパワーがあり9回防衛している選手なので、それを上回る技術を出す」
 初のメインエベンターに選ばれた。
「今まで以上に熱く盛り上がる試合をしたい」とも言う。
 拓真は4月8日に有明アリーナで行われた同王座決定戦でリボリオ・ソリス(41、ベネズエラ)を3―0の判定で破り新王者となった。その後、すぐに次期候補者の選定に入ったが、陣営はランキングの中で実績と実力を兼ね備えた最強挑戦者をあえて物色し、アンカハス、元WBA世界スーパーフライ級王者のカリド・ヤファイ(英国)という2人の元世界王者が候補にあがり、最終的に超好戦的なサウスポーのフィリピン人を選んだ。
「ファンが見たいだろうカード。自分自身もワクワクする試合だと思う。ボクシングをやっている以上、強い相手とハラハラする相手とやっていきたい」
 兄でWBC&WBO世界スーパーバンタム級王者の尚弥も、常に強い相手との戦いを選択してきた。それが井上家の流儀だ。
 2019年11月にノルディ・ウバーリ(フランス)とのWBC世界バンタム級の王座統一戦に判定で敗れて以来、OPBF東洋太平洋バンタム級王者の栗原慶太、世界挑戦経験のあるサウスポーの和氣慎吾、日本スーパーバンタム級王者の古橋岳也ら国内のトップボクサーに勝ってきた。
「国内の強豪に勝っていく中で、ちょっとずつ変わっているなと実感ができている。強くなるためには強い相手とやらないと意味がない」
 厳しい相手との戦いの中で、確実に進化している手ごたえがある。スパーリングでも、相手をコントロールでき「やり辛い」と思う機会が減ったという。
 アンカハスはマルティネスとの2試合では精彩を欠いたが、本来は当て勘の鋭い右のジャブが伸びてくるし、強烈な左ストレートと右フックがフィニッシュブロー。拓真も「パンチが強い。まずもらわないこと、位置取りで完封したい」との戦略を練る。
 真吾トレーナーも「サウスポーのやり辛さはない。パンチが強いので、そこを見極めながら入り込んで崩していくイメージ」という。

 

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