天心か拓真か?「天心はまだ本当の実力を試されていない」「拓真は兄の尚弥に似ている」元IBF世界スーパーバンタム級王者と“ロマチェンコと戦った男”が注目のWBC世界戦を占う
いよいよ今日24日、那須川天心(27、帝拳)と井上拓真(29、大橋)のWBC世界バンタム級王座決定戦(24日・トヨタアリーナ東京)のゴングが鳴る。どちらが勝つのか。“ロマチェンコと戦った男”の元OPBF東洋太平洋ライト級王者の中谷正義氏(36)は“天心推し”だが、現役時代に拓真とスパーを重ねた元IBF世界スーパーバンタム級王者の岩佐亮佑氏(35)の予想は拓真。その根拠とは?
真っ二つに割れる予想
天心か。拓真か。予想は真っ二つに分かれている。
拓真にはプロ12年のキャリアがあり、元WBA世界バンタム級王者で、暫定ながらWBCの世界同級王者のベルトを巻いた。対する天心は、キックで無敗を誇り、2022年に東京ドームで開催された武尊との「THEMATCH」でもダウンを奪って勝利したが、ボクシングに転向してわずか7戦。元WBO世界バンタム級王者のジェイソン・モロニー(豪州)に判定勝利しているものの俯瞰で見れば、天心のチャレンジマッチだ。拓真勝利の予想が、圧倒的であってもおかしくないが、天心を推す声が少なくない。
プライムビデオの勝敗予想アンケートでは、約6対4で天心。英大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」のオッズも天心勝利が1.25倍、拓真勝利が3.74倍となっている。
帝拳OBではあるが、確かな分析力を持っている元OPBF東洋太平洋ライト級王者で、あの元3階級制覇王者のビッグネーム、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)とラスベガスで戦った男として知られる中谷正義氏(現在・大阪吹田市で中谷ボクシングフィットネスクラブを経営)は、「どっちが勝ってもおかしくない」としながらも「天心勝利」を予想する一人。その根拠はこうだ。
「天心選手はスピードを生かして打ち合いはせず徹底したアウトボクシングをすると思うんです。拓真選手はディフェンス力に優れているので、ボディを散らしながら、ポイントを重ねていくと思っています。ジャブの差し合いでも距離が遠く、サウスポーの利点を生かして、天心選手が一歩リードするでしょう。特に天心選手は序盤が強い。そこでポイントを支配し、焦って拓真選手が出ていくが、うまく足を使われて空回りしてしまうのではないか、と予想しています。サプライズで拓真選手が序盤から前に出て勝負すれば、また違って展開になりますが、元世界王者のキャリアと自信から、逆に今まで通りのボクシングをしてしまうんじゃないでしょうか」
一方で、ボクシング専門サイト「ボクシングモバイル」の勝敗予想アンケートでは約6対4で拓真。大橋秀行会長が「ボクシングマニアが見ると、そういう予想になるんで面白いね」と言う。
現役時代に拓真と数多くのスパーリングを行った経験のある元IBF世界スーパーバンタム級王者で、現在「EGE」という会社を立ち上げ高級車の輸送やロードサービスなどの事業を手掛ける岩佐氏は、拓真を推す一人だ。
「面白い試合になりますよね。拓真君はサウスポーが得意じゃないけれど、僕は拓真君の勝利と見ます」

