「奇跡?天変地異が起きた」なぜ37歳の小國以載は井上尚弥と戦った元2団体統一王者タパレスを判定で下す”大番狂わせ”を起こせたのか…当日体重9キロ増の”油断”を見抜いたボディ攻撃
一方の試合後のインタビューを拒否したタパレスはカットした右目上の処置を付けた医務室で号泣していたという。
それもそうだろう。5月2日の東京ドームで井上が中谷潤人(M.T)に勝てば、フェザー級に挑戦するため4つのベルトが返上され王座決定戦となりランキング上位にいるタパレスが抜擢される可能性が高かった。
中谷が勝てば最有力挑戦者として浮上するところだった。
しかしそんな構想も無残に消えてしまったのだ。
しかも、再計量を行わず、契約体重をクリアしなかったため、JBCから半年間の出場停止処分を受けることが決定した。日本のリングだけに適応されるルールだが、小國へのダイレクトリマッチは叶わない。
昨年8月には、井上のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)に向けてのスパーリングパートナーに指名された。そこで実力をさらに磨いたはずだったが、計量での体重超過と9キロ増量がすべてを象徴しているように、パンチのない37歳の小國を舐めていたのだ。
小國も「タパレスは仕上がってなかった、ラッキーですね」と世界上位ランカーが万全でないことを見抜いていた。
小國の世界ランク入りはほぼ確実と見られて、世界再挑戦の可能性が出てきた。初防衛戦で岩佐亮佑に6回TKO負けしてベルトを失ったのが2017年。実に9年越しの世界戦線への返り咲きである。
「次もしかしたら世界戦になるかもしれないということも視野に頑張りたい」
ただし、この階級の王者はモンスター井上だ。
「口が裂けても(井上に挑戦したいとは)言わない。おこがましいですよ」
また記者団を爆笑に包んだ。
小國は正直だ。
「弱い相手、僕が得意そうな相手と王座決定戦でやりたい」
もし井上に中谷が勝った場合は、自分がランキング最上位にいる団体のベルトを返上するように連絡をとりたいという。
愛されるキャラの小國が後楽園の1615人のファンの前で奇跡を見せた。こういうことが起きるからボクシングは面白い。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

