ヤクルトの高橋宏斗KOの5点差大逆転はなぜ起きた…WBCベネズエラ戦法と中日ベンチの継投迷い&記録に残らないミス
ヤクルトが5日、神宮球場での中日戦で5点差をひっくり返す大逆転勝利を収めた。7回に打者一巡の猛攻を仕掛けて中日先発の高橋宏斗(23)をKOして7点を奪い、1イニングを無失点に抑えた育成出身の2年目の廣澤優(24)にプロ初白星がついた。
長岡の同点タイムリーにサンタナの勝ち越し2ラン
池山監督がピョンピョンと飛び上がり、松元ヘッドと肩を組みベンチで狂喜乱舞していた。7回。サンタナのバックスクリーンを直撃した勝ち越しの2ランで、この回、7点を奪い、7-5とゲームをひっくり返したのだ。
「最高な雰囲気。すごい良い勢いに乗っている」
サンタナの言葉がすべてだろう。
5点を追う7回にドラマが起きた。
ここまでWBC代表の高橋の前に三振ゲッツーを含む3つの併殺打で、ことごとくチャンスを潰し、6回までスコアボードにゼロが並んでいた。だが、球数が90球を超えた7回に、池山監督が「気がつけば岩田」と、評価する育成出身の5年目の俊足の外野手が、右中間寄りのライト前へ打球を弾き返した。岩田は中日のブライトの打球処理の位置が深いと判断するや二塁を狙い、無死二塁にしたのだ。さらに続く増田のショートを襲う強烈なゴロが逆シングルでさばこうとした村松のグラブを弾いた。
現役時代にタイトル獲得経験のある評論家の一人は「ブライトの緩慢なプレー。記録に残らないエラーですよ。村松が逆シングルで捕球しようとしたのは間違いではないが、足がまったく動いていなかった。どれだけ早い打球であろうと、瞬間、足を動かしてバウンドを合わせ正確にグラブの捕球面を打球に対して出さねばならない。準備と集中力が欠けていたエラーだ」と指摘した。
そして続く伊藤が一、二塁間におっつけてまず1点、さらに途中出場の20歳の捕手、鈴木がレフト前ヒットを放ち満塁となった。
高橋の球速は152キロをマークしていたが、球数は107球となっていた。
前出の評倫家は、「まだ4点差があったといえ、結果論ではなく、まだワンナウトも取れていなかったことを考えると、ここが代え時だったのでは?」と、中日ベンチがここで誰もマウンドにもいかずまったく動かなかったことに疑問を投げかけた。
そして9番打者の武岡がファウルで4球粘り、押し出しの四球を選んで3点差となったところで、ようやく中日の井上監督は、左腕の齊藤への交代を告げた。
スポーツ各紙の報道によると、井上監督は「球速がガクンと落ちるとか、そういうものが見えてくるとわかりやすいが、それもなく、もうひと踏ん張り(の期待も)というところで交代は難しかった」と交代に悩んだ心中を素直に明かしている。
前出の評論家は、その武岡が選んだ押し出しの四球にヤクルトの快進撃の秘密が隠されてるという。
「高橋は、武岡に1、2球、スプリットから入り誘いにきたが手を出さなかった。カウント2-2からの際どい低めのスプリットを武岡は見送ってボールとなった。あの見極めがすべてですよ。さらに次の勝負球である153キロのストレートをカットして、もう計算したように奪った押し出し四球だった。ヤクルト打線は膝から下のスプリットに手を出さないことを徹底していた。カットボールは見極めきれず、三振や併殺打はあったが、ほぼスプリットには手を出さずボールが浮いてくるのを待っていた。WBCで日本の山本由伸、隅田知一郎、伊藤大海がベネズエラ打線に低めの変化球に手を出さない戦術を徹底されて攻略されたのと同じことをヤクルトがやっていた」
WBCで日本に準々決勝で涙をのませたベネズエラ戦法。
スポーツ各紙の報道によると、実際、池山監督は「カット、フォーク(に手を出すこと)をなんとか我慢しよう」という指示を徹底していたという。

