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天心がエストラーダをTKOで破る快挙(写真・山口裕朗)
天心がエストラーダをTKOで破る快挙(写真・山口裕朗)

「負けたら次の日がない」なぜ那須川天心はレジェンドを”病院送り”にし井上陣営を「強くなった」と感嘆させる涙の復活を果たせたのか…「本田会長の決断と父への電話」…知られざる舞台裏

 昨年、井上拓真に敗れ、試合後に本田明彦会長は「半分も力を出せていない」と言った。
「回りが、よいしょ、よいしょで、天心を甘えさせてしまっているんだ」
 本田会長はそれが理由だと考えた。
 調子が悪ければ無理に練習をさせず、自然、練習量も落ちていた。
 環境を変えなければその才能は埋もれたままになる。
「ああ見えて天心は気持ちが弱いんだ。殴り合う本能。闘争心がない。ボクシングもゲーム感覚なんだ」
 本田会長が眠れる天心の闘争心を呼び起こすために環境を変えることを決断した。
 それが中学時代の恩師である葛西氏とのコンビ復活であり、週に一度、父の弘幸さんが経営するキックの精鋭が集まるプロジム「TEPPEN GYM」での里帰りトレーニングだった。
 実はタイミングを同じにして天心は父に1本の電話を入れている。
「また見て欲しい」
 父は「キック時代のいい動きがなくなっている」と感じた。
 そして何より幼い頃から天心の弱さを知る父もまた「闘争心をいかに植え付けるか」が課題だと感じた。
 これまでは「ボクシング界に行った以上、私は出しゃばらない」とのスタンスを守っていたが、本田会長の「闘争心を植え付ける」という点で一致して週一のトレーニングがスタートした。
 午前中に父とマンツーマン。午後からはプロ練に合流する二部練。
 キックの人気団体「RISE」で2階級制覇に成功した弟の龍心は、共にトレーニングをする中で天心の変化を一番近くて見てきた。
「これまでは僕の試合前に来てくれたくらいでボクシングにいってからは、テッペンジムにほぼこなかった。それが今回は来るようになった。どうしても勝ちたいという気持ちがヒシヒシと伝わってきた。今までそこまで気持ちを出す天心を見たことがなかった」
 父のトレーニングに甘えはない。
「親父は褒めない。天心も”なんだ!それは”とハッパをかけられ、何クソという反骨心が出て力を出す。その気持ちの部分が一番変わった部分じゃないですか」
 才能さえ覚醒できればエストラーダも敵ではない。
 それが総帥が無謀ともいえるマッチメイクを組んだ理由だった。
 また龍心は1週間に一度来る度に技術的な変化にも気がついた。
「体が浮かなくなったんです。それと左右両方のボディが打てるようになった。エストラーダをボディで倒すんじゃないですか」
 龍心の予言はまさに現実のものとなった。

 

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