
今日統一戦!井上尚弥を狙う中谷潤人に“死角”はあるのか…「サウスポー苦手説」の真偽と西田凌佑サイドが仕掛けたジャッジ構成と採点基準確認のケン制
プロボクシングの「Prime Video Boxing13」(8日・有明コロシアム)の前日計量が7日、後楽園ホールで行われ、メインイベントで統一戦に挑むWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(27、M.T)が53.3キロ、IBF世界同級王者の西田凌佑(28、六島)が53.4キロで一発でクリアした。英ブックメーカーの予想は7対1で中谷が圧倒的に有利。来年5月にスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(32、大橋)とのスーパーマッチが計画されているビッグバンに本当に死角はないのか。
ハッピー・ジュント
握手はしなかった
フェイスオフは15秒。中谷と西田はお互いに「うんうん」とうなずいて離れた。
中谷は「多少(体は)小さくはなったが、明日は戻してくるでしょう」と言い、西田は「やっぱり背は高いな」と、至近距離で見たライバルを評した。
それぞれが後楽園ホールのロビーで短く囲み取材に応じた。
WBC王者はニコニコしていた。
西田陣営は、中谷の「ビッグバン」に対抗して「ブラックホール」との呼称を名乗ったが、「(ブラックホールは)全然、感じなかった」と笑わせ「いつもより元気に体重調整ができた。調子がいいんで。弟(マネージャー)を見てもらうとわかるけどよく笑うんで。ハッピー潤人で」と新たな呼称を表明した。
今回は恒例の米国ロス合宿から栄養士をつけてきた効果もあり、減量は順調で、前日に水分や食事も取れ「筋肉量を落とさず絞れた」という手応えがある。それは数値にも出ているという。
勝負飯は「ウナギ」。
「(統一戦でも前日の心境は)特に変わりはない。練習段階でモチベーション高く気持ちを入れてできた。そこらへんが明日出る。ビッグバンを発揮したい」
余裕のある表情で語った。
一方の西田は苦しい減量を乗り越えた。
「中谷選手と戦うモチベーションがあったので頑張れました」
こちらの勝負飯は、大阪から同行してくれている妻の沙捺さん手製の「おじや」。全日本を3連覇した元アマの女子王者が、愛情をこめた勝利のスパイスをかけてくれている。
「ビッグマッチをやるだけじゃなく、勝つためにここまできた。全力で戦い統一チャンプになりたい。やってきたことを頭に入れつつ、あとは対峙してみて、武市さん(トレーナー)の声を聞きながら自然に動けると思う」
ただ戦前予想は、英大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」が1対7のオッズをつけるなど西田が圧倒的に不利だ。中谷は米老舗リング誌のパウンド・フォー・パウンドフォーランキングの7位にいる世界的評価のある王者で西田はまだこれでプロ11戦目。当然の予想である。
その声を西田は「気にしていない。自分を信じてくれている人や武市さんを信じて戦いたい。コンディションがいいんで自信はある」と無視。中谷はこう受け取った。
「有利というより、応援してくれる人がたくさんいると感じている。その期待を上回れるようにというモチベーションがある。そこは楽しみにしてもらえれば」
自信が言葉の端々から伺えた。
本当にビッグバンに“死角”はないのか。
電撃的に現役引退を発表したIBF世界ライト級王者のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)とラスベガスで戦った男として知られる元OPBF東洋太平洋ライト級王者の中谷正義氏(現在は大阪の吹田市で中谷フィットネスボクシングクラブを経営)は、「ぶっちゃけ中谷選手の勝利予想です。ただ一方的にはならない。いい試合にはなる。死角はありますよ」と予想した。