
なぜFC町田は破竹8連勝で10位から暫定首位へ浮上できたのか?「落とした試合が数多くあっても自分たちに疑いを持たない」
J1リーグ第30節の前倒し分が20日に行われ、FC町田ゼルビアが3-1でガンバ大阪を破って破竹の8連勝をマークし、暫定ながら136日ぶりに首位へ浮上した。ホームの町田GIONスタジアムにガンバを迎えた町田は、1-1で迎えた後半33分に相手GKがファンブルしたこぼれ球をMF林幸多郎(24)が押し込んで勝ち越すと、終了間際にはPKでダメ押し点を奪った。4月6日に首位に立った直後から失速し、折り返し時点で首位から勝ち点15ポイント差の10位にあえいだ苦境から、なぜ驚異的なV字回復を遂げたのか。
後半戦に故障者が戻り揃い始めた戦力&3バックの完成度
大記録を阻止されても、町田はまったく動じなかった。
1点リードで迎えた後半16分。選手交代を機に圧力を強めてきたガンバに左サイドを突破され、最後はFWデニス・ヒュメット(28)に同点弾を押し込まれた。6月21日の鹿島アントラーズ戦以来、約2カ月ぶりに喫した失点とともに、J1リーグ記録に29年ぶりに並ぶ6試合連続完封勝利への夢が途絶えた。
このとき、町田の選手たちはピッチ上でどのような思いを抱いていたのか。前半17分に左CKから先制点となるヘディング弾をゲット。古巣相手に今シーズン初ゴールを見舞った町田のキャプテン、元日本代表のDF昌子源(32)が明かす。
「いまの自分たちは失点してもブレない。そういった強さというものも、見せなければいけないと思っていました。前節まで5試合続けて無失点できましたけど、どこかで勘違いするというか、じゃあ1点を取れば勝てるのかと言われれば、サッカーはやはり何が起こるかわからない。相手の圧力をそのまま感じるような時間帯も(同点にされた後は)ありましたけど、それでもブレずにいこう、と」
同じくガンバが古巣となる守護神、元日本代表の谷晃生(24)が鬼気迫るビッグセーブを連発。ガンバに勝ち越しゴールを許さない展開で迎えた後半33分に、林が2試合連続となる勝ち越し点をゲット。終了間際の同45分には、DF菊池流帆(28)が倒されて獲得したPKをFW西村拓真(28)が確実に決めてダメ押しした。
6月14日の湘南ベルマーレ戦から始まった連勝を「8」に伸ばした。J1リーグに初めて挑戦した昨シーズンの序盤にマークした4連勝の倍となる、破竹のクラブ記録更新とともに、キックオフ前で首位だった京都サンガF.C.を勝ち点1ポイント差で上回り、4月6日以来、136日ぶりに首位へと浮上した。
このときは続く浦和レッズ戦で0-2と完敗すると一気に7位へ後退。その後は黒田剛監督(55)が就任した2023シーズン以降で初の3連敗を喫するなど、攻守が噛み合わなかった町田はリーグ戦の折り返しとなる5月31日の第19節終了時で10位に低迷。首位の鹿島には勝ち点で15ポイントもの大差をつけられていた。
ズルズルと後退しかねない瀬戸際から、驚異的なV字回復を遂げたのはなぜなのか。ここまで全27試合で先発フル出場している昌子は、今シーズンから本格的に導入した3バックが「少しずつですけど、自分たちの形になりつつある」と言う。
「3バックでいろいろとトライをすれば、必ずエラーをする状況でした。前半戦であまりうまくいかなかったなかで、4バックに戻す方法も絶対にあったはずですけど、それでも監督やコーチが3バックの形を作っていこうとトライし続けた結果が出てきている。トライ・アンド・エラーが繰り返されたなかで、落とした試合が数多くあっても自分たちに疑いを持たずに、自分たちを信じてやってきました」