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J2のFC町田ゼルビアに入団した外国人2人を除く新加入選手17人と原靖フットボールダイレクター(写真提供・FC町田ゼルビア)
J2のFC町田ゼルビアに入団した外国人2人を除く新加入選手17人と原靖フットボールダイレクター(写真提供・FC町田ゼルビア)

青森山田高監督からFC町田ゼルビアへ”異色挑戦”する黒田剛氏はどんなサッカーを目指すのか…新加入の19人から見えてきた輪郭

  J2のFC町田ゼルビアの2023新体制発表会が14日、オンライン形式で行われた。青森山田高を全国屈指の強豪に育て上げた高校サッカー界の名将、黒田剛氏(52)を新監督に迎えたチームからは今オフに10人の選手が退団。W杯カタール大会でゴールを決めたオーストラリア代表FWミッチェル・デューク(31、前J2ファジアーノ岡山)ら19人を数える新戦力の顔ぶれや言葉から、初のJ1昇格を目標に掲げる“黒田スタイル”の輪郭が見えてきた。

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 壇上が一気に手狭に、そしてにぎやかになった。
 三部形式で開催された町田の新体制発表会。スローガンを含めた今シーズンの方針と新ユニフォームが発表された第一部、新スタッフが発表された第二部に続いて、新たに加入する選手たちが一斉に入場してきた第三部が始まった直後の光景だった。
 登壇したのはまだ合流していないデューク、横浜F・マリノスで活躍したブラジル出身のFWエリキ(28、前長春亜泰)の2人を除いた17人。さらに新たにフットボールダイレクターに就任した原靖氏(55、前岡山強化部長)が中央に加わった。
 自己紹介に続いて、原ダイレクターが獲得に至った経緯に一人ずつ言及していく。新戦力に関しては原ダイレクターと金明輝・新ヘッドコーチ(41、サガン鳥栖前監督)、そして黒田新監督が昨秋から議論を重ねながらリストアップしてきた経緯があった。
 昨年末に就任会見を終えている黒田新監督は、新体制発表会に出席しなかった。それでも原ダイレクターの説明を聞けば、今シーズンの目標に掲げられたJ2優勝と初のJ1昇格へ向けて、新指揮官のもとで標榜していくスタイルが浮かび上がってくる。
 まずはゴールキーパー。15位だった昨シーズンに所属した3人全員が残留した陣容へ、身長202cm体重96kgのビッグサイズを誇るセルビア出身のストイシッチ(25、前J2ベガルタ仙台)が加わった。黒田監督から要望があったと原ダイレクターが明かした。
「シュートストップに長けた、われわれの間では『当たる』と表現するキーパーはいますかと要望されました。現状のキーパー陣も上背がありますけど、いろいろと調べたなかで202cmの長身を生かした『当たる』選手ということで獲得に至りました」
 センターバックには高さと強さ、速さが求められた。
 たとえばスペイン出身のカルロス・グティエレス(31、前栃木SC)は192cm82kg。韓国出身のチャン・ミンギュ(23、前ジェフ千葉)は183cm79kg。日本人選手ではブラウブリッツ秋田から加入した池田樹雷人(じゅらと、26)が186cm82kgの体躯を誇る。
 既存の選手を含めて、選手層が一気に厚くなったセンターバック陣に託される役割は、もちろん自軍のゴール前で相手の攻撃をはね返すだけではない。
「(昨シーズンのJ2における)空中戦での勝率が最高位に近い選手であり、黒田監督が求めるセットプレーからの得点力アップにも期待して獲得しました」
 池田に対する原ダイレクターの評価はグティエレスに、そしてチャン・ミンギュにも当てはまる。さらにセットプレーからの得点力アップを望む黒田監督の青写真は、J1リーグで通算122試合に出場と、新加入選手のなかでは群を抜く実績を持つボランチの下田北斗(31、前大分トリニータ)の獲得にも反映されている。原ダイレクターが続ける。
「近年のJ2ではセットプレーからの得点率がすごく高くなっている。その意味でリーグ屈指の精度と言っていい、左足のキックを持つ下田選手の獲得に至りました」

 

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