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経営破綻でJFL退会通告を受けた「FC神楽しまね」が保護者説明会を開き、育成組織の活動停止を報告した
経営破綻でJFL退会通告を受けた「FC神楽しまね」が保護者説明会を開き、育成組織の活動停止を報告した

困惑の保護者説明会…経営破綻でJFL退会通告を受けた「FC神楽しまね」が育成組織の活動停止決定を報告も理由は示さず

  深刻な資金不足による経営難を理由に、日本フットボールリーグ(JFL)から退会させられたFC神楽しまねが31日をもって、育成組織のU-15及びU-12松江の活動を突然停止したことが明らかになった。同日に島根県松江市内で開催された説明会で保護者に通達された。JFL臨時理事会で新シーズンの不参加が承認されてから8日。育成組織は「松江シティフットボールクラブ」として新たに活動していく予定だが、先行きが見渡せない状況下で保護者の間では困惑が広がっている。

 子ども達の受け皿として「松江シティフットボールクラブ」を設立予定

 

 島根県松江市内で31日夜に開催された説明会。神楽しまねを運営する松江シティFC株式会社の宮滝譲治代表取締役社長名で作成され、保護者に配布されたA4版のペーパー1枚に記されていたのは、同日をもって育成組織の活動を停止する決定だった。
 島根県で初めてとなるJクラブを目指していた神楽しまねは、傘下の育成組織として中学生年代のU-15、小学生年代のU-12松江を運営してきた。しかし、31日をもって両方の活動を突然停止。文書には理由として「諸般の事情」とだけ記されている。
 JFLが開催した臨時理事会で、3月に開幕する新シーズンへの参加を認めない措置が全会一致で承認されたのが1月23日。その後は実質的な退会を勧告されたトップチームだけでなく、育成組織の活動も含めて「現在調整中」とアナウンスされてきた。
 このうち育成組織に関しては28日夜に、説明会を開催する連絡が保護者のもとへ届いた。慌ただしい展開のなかで告げられたのが育成組織の活動停止であり、子どもたちの新たな受け皿として「松江シティフットボールクラブ」を設立する代替案だった。
 子どもたちがサッカーをする場所をなくしたくない、という方針を掲げた運営法人側は、育成組織の指導者たちに協力してほしいと打診。快諾を得たとして、U-14監督を務めていた見継武志氏を中心に新たなクラブを立ち上げるに至ったと説明している。
 運営変更の開始日は説明会から一夜明けた1日。もっとも、詳細に関しては同日に開催されるクラブ説明会で案内すると綴られていた。要は「松江シティフットボールクラブ」に関して、運営形態を含めたすべてがわからない状況になっている。
 神楽しまね側が急きょ動いたのには理由がある。
 来たる2023年度に活動していくためには、3日までにチーム及び選手を島根県サッカー協会に登録しなければいけない。つまり、神楽しまねU-15及びU-12松江から新しいクラブへ入会するか否かを、ごく短い時間で決めてほしいと要望したわけだ。
 保護者の心情として、子どもたちが夢中になっているサッカーを続けさせたい。それでも新たな活動場所として「松江シティフットボールクラブ」を選択するかどうかにおいて、保護者説明会を終えた段階ではあまりにも判断材料が少なすぎる。
 今回の事態を招いたのは、神楽しまねが陥った深刻な経営難だ。
 神楽しまねの前身は1968年に創設された松江RMクラブ。ヴォラドール松江を経て、中国サッカーリーグに昇格して2年目の2011シーズンに松江シティFCに改め、2019シーズンからはアマチュアリーグの最高峰で実質的な“J4”となるJFLへ昇格。2021シーズンには5位に躍進し、昨シーズンからは現在のクラブ名称に変更していた。
 クラブの収入源はスポンサーと小学生以下を対象とするスクール。しかし、遠征などの活動が全国規模となったJFLを戦う過程で、もともと苦しかった資金繰りがさらに悪化。さらにコロナ禍が追い打ちをかけ、累積赤字は2021年で約1億円に膨らんだ。

 

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