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後半戦で初登板となったロッテの佐々木朗希が自己ワーストタイの5失点で6回KOされた(資料写真・黒田史夫)
後半戦で初登板となったロッテの佐々木朗希が自己ワーストタイの5失点で6回KOされた(資料写真・黒田史夫)

なぜ”令和の怪物”ロッテ佐々木朗希は楽天戦で自己ワースト記録を積み重ねたのか…まさかの6回5失点KO

被安打8は昨年7月9日の日本ハム戦、今シーズン初黒星を喫した6月3日の巨人戦に並ぶ自己ワースト。自責点5も巨人戦の4を上回る自己ワーストとなり、6回だけで喫した4連打を含めた被安打5、4失点もプロ初の苦い経験となった。

 打線は8回に中村奨吾の一発で1点を返すも、反撃はそこまで。各社の報道によれば、6勝目をあげた6月22日の西武戦を最後に遠ざかっている白星を自ら手放した形の佐々木は、今シーズン2敗目を次のように振り返っている。

「雨もあって難しかったんですが、途中までは粘りながら投げられていましたが、全体的に精度がよくなかったので、打たれるべくして打たれたという感じで悔しいです」

 公式戦での登板は4回を被安打わずか2で無失点に封じ、12のアウトのうち実に10個を三振で奪う快投を演じながらも、右手中指のマメがつぶれて64球で降板した7月1日の楽天戦(ZOZOマリンスタジアム)以来、約1ヵ月ぶりだった。

 その間にパ・リーグの先発投手部門で1位に選出された、7月27日のオールスターゲーム第2戦(松山・坊っちゃんスタジアム)で先発。1イニングを投げて1点を失うも、2014年の大谷翔平(当時・日本ハム)に並ぶ、オールスターゲームにおける日本人選手最速の162kmをマークした。しかし、言うまでもなく公式戦は勝手が違った。

 ストレートの平均は154kmちょっとで、前回登板と比べて4km近く減速した。球数制限が設けられたなかで、リリーフ陣への負担を考慮した佐々木が、先発を託された責任からできるだけ長いイニングを投げようとした工夫の跡ともいえる。

 2回以降はカーブをまじえながら緩急を駆使し、要所で威力のあるストレートを選択。3回の9番・太田光の打席ではバットを2度もへし折った。先頭の小深田に出塁され、浅村に1球を投げた直後に雨で約16分間中断した4回は集中力を切らさず、内野陣の好守もあって零封。5回にも変化球を多投して2つの三振を奪った。

 しかし、大雨に見舞われた6回は落ち幅と制球が乱れたフォークを、封印せざるをえない状況に追い込まれた。ストレートのギアを上げるべき場面で上げられず、小深田と島内に狙い打たれたのは、長期のブランクに起因する疲労も関係していたはずだ。

 再び各社の報道を引用すれば、井口監督は2回から5回までの佐々木のピッチングを「自分のなかで(力を)抑えながら、コントール重視でいっていたように見えた」とポジティブに評価したという。佐々木自身も中指のマメに関して「大丈夫です」と問題なしを強調しながら、次回以降の登板へこんな言葉を残している。

「次回は長いイニングを投げて、しっかりリードを守れるように頑張ります」

 逆転負けを喫したロッテは再び借金生活に陥った。もっとも、首位・西武と5位・ロッテのゲーム差は4.5。予断を許さない戦国リーグと化している今シーズンでロッテが上位進出を果たすためにも、令和の怪物の完全復活は欠かせない。

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