• HOME
  • 記事
  • 格闘技
  • なぜ天心と武尊はフジテレビの放送見送りに怒り落胆したのか…背景にテレビ業界の異常に厳しいコンプライアンス事情
天心と武尊の「THEMATCH」の地上波放送が見送られることになった
天心と武尊の「THEMATCH」の地上波放送が見送られることになった

なぜ天心と武尊はフジテレビの放送見送りに怒り落胆したのか…背景にテレビ業界の異常に厳しいコンプライアンス事情

 

キックボクシングのRISEのフェザー級王者、那須川天心(23)とKー1スーパーフェザー級王者、武尊(30)が対戦する注目の格闘技イベント「THE MATCH 2022」(6月19日・東京ドーム)の中継を見送ることを5月31日、フジテレビが発表した。これを受け同イベントの製作実行委員会が緊急会見を開き、実行委員長の榊原信行氏がファンに対して経緯と事情を説明、自ら辞任する意思を明かした上で「断られてもあきらめきれない。もう一回戻ってきて欲しい」と放送の再検討を訴えた。放映権料で折り合いがつかなかったわけではなく、週刊誌報道に端を発するコンプライアンスの問題を理由にフジテレビのトップが経営判断を下した可能性が高いが、ボクシング界では、7日にノニト・ドネア(39)と3つのベルトをかけて注目のリマッチを戦う井上尚弥(29)のビッグカードが地上波で放映されないなど、もう地上波の時代ではなくなっている。それでも天心と武尊がツイッターで怒りと落胆の心境を明かした理由は何なのか。そこには、この試合を、単なる対決だけに終わらせず、さらなる格闘技発展の礎にしたいという両者の熱い思いがあった。

突然の発表「あまりにも酷すぎないですか」

 衝撃が走った。

 この日、突然、フジテレビがツイッターの「ザ・マッチ」の公式アカウントとホームページにて「主催者側との契約に至らずフジテレビで放送しないことが決まりましたので、ここにお知らせいたします」と、世紀のビッグマッチの放送の見送りを発表した。

 フジテレビ側との交渉窓口だった榊原氏によると、午前中に「今から内容証明を送る」という連絡があり、放送を見送ることになったことを伝えられ、「選手や関係者にきちんとご案内するための時間をいただきたい」と要望したが、その15分から20分後にツイッターとネットに情報がアップされたという。

「残念だし頭が真っ白になった」

 関係各位への満足な説明ができない状況の中での公表に「あまりにも酷すぎないですか。4月の末の金光社長の定例会見では“媒体価値が上がる”とまで言ったイベントから撤退するんだったらもう少し丁寧な作業をしていただきたい。この放送環境を最後まで守ろうとしてくれた役員の方、編成の担当の方ではないと思いますが、そういうジャッジをされたことに憤りを覚えます。フジテレビさんの中では何か理由があるんでしょう」と、複雑な心境を明かした。

 なぜフジテレビは撤退を決めたのか。

 フジテレビ側は「諸般の事情を総合的に考慮した結果」としか説明せず、榊原氏は「いくつかの要因があり明確なものはない」としながらも「経済的な条件で折り合わなかったのではない」と放映料の問題は否定。

「週刊ポストさんに記事が載りました。これはフジテレビさんからすると由々しき問題だった」と事の発端が5月初旬に発売された週刊ポストの報道にあったことを明かした。

 RIZINの関係者に反社会勢力と関わりのある人物がいると報じられ、それを認める榊原氏の音声データも公開された。加えて、そのネタを持ち込んだジャーナリストに“口封じ料”とも取れる金銭を渡していたことなどを報じられフジテレビ側が慌てたという。

 榊原氏によると全関係者の“反社チェック”ともいえる身辺調査が行われて疑惑は晴れたが、「色んな意見が社内であったんだと思います。その中で放送が難しいというような空気感が出てきた」という。

  

 

関連記事一覧