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横浜FCの本拠地であるニッパツ三ツ沢球技場は老朽化が問題となっている(写真・アフロ)
横浜FCの本拠地であるニッパツ三ツ沢球技場は老朽化が問題となっている(写真・アフロ)

なぜ横浜FCは建設計画を発表した新スタジアムを横浜市に寄贈しようと考えているのか?

  J2の横浜FCは14日、親会社のONODERA GROUP(本社・東京都千代田区、代表取締役会長兼社長・小野寺裕司)が新スタジアムを建設し、横浜市へ寄贈する意向を同市へ提案したと発表した。本拠地のニッパツ三ツ沢球技場がある横浜市神奈川区の三ツ沢公園内で、同市が公民連携の形で進める再整備計画に賛同した同グループはすでに市側と面談も実施。自前で2万規模のスタジアムを新設した上で、ホームタウンの横浜市へ寄贈する意図はどこにあるのか。

三ッ沢公園の再整備構想の一環で2万人規模

 

 戦後間もない1949年開場し、70年以上の歴史を紡いできた三ツ沢公園のあり方を大きく変える再整備構想に加わりたいと、J2の横浜FCが手をあげた。
 横浜市は今年6月1日付で「三ツ沢公園球技場を含む公園の再整備に向けた基本的な考え方(案)」を発表。横浜FCの本拠地ニッパツ三ツ沢球技場の北側に位置する、いま現在は青少年野外活動センターや第2テニスコート、補助陸上競技場、自由広場などがあるエリアに新たなスタジアムを建設するプランを明記し、その上で次のような方針を示していた。
「厳しい財政状況のなか、効率的・効果的な球技場の整備や運営、市民サービスの運営へ向けて公民連携の取り組みを最大限に推進する」
 横浜市がタッグを求める「民」として、グループ会社数が「35」を数え、今年3月期の決戦でグループ売上高が1030億円に達した横浜FCの親会社、ONODERA GROUPが名乗りをあげた。
 ニッパツ三ツ沢球技場は1955年の神奈川国体のメイン会場として開場。1964年に開催された東京五輪ではサッカー会場のひとつとなり、1993年に旗揚げされたJリーグでは横浜F・マリノスがホームとして使用。今シーズンを含めて、いま現在も公式戦の一部を開催している。
 1998年末に発足した横浜FCも、いま現在に至るまでニッパツ三ツ沢球技場をホームスタジアムとして使用してきた。しかし、老朽化が顕著になってきた上に、観客席の屋根のカバー率でJリーグ基準を満たさず、バリアフリー化も不十分な点が課題として指摘されてきた。
 横浜市もメインスタンドへの屋根の設置や、全面的な建て替えなどを検討してきた。しかし、前者は老朽化した構造が各種工事方法に耐えられないとして、後者はJリーグに加えてなでしこリーグ、ラグビーリーグワン、さらに学生や社会人などの利用で年間稼働率が極めて高いために断念。既存の球技場を活かしながら、スタジアムを新設するプランに落ち着いた。
 一連の再整備構想に賛同したONODERA GROUPは、今月に入って同グループが横浜FCのホームとなる新スタジアムを建設した上で、完成後は横浜市側へ寄贈する意向を面談の場で提案した。14日に横浜FCが発表したリリースにはこう綴られている。
「新スタジアムは2万人規模を想定しており、Jリーグをはじめとするプロスポーツの興行基準を満たすのはもちろんのこと、市民の皆様や三ツ沢公園に訪れるたくさんの方々に喜んでいただける施設となるよう、地域活性化・憩いの場・健康増進の場としてのコミュニティ機能を持ち、横浜の新たなランドマークとなる施設として計画する予定です」

 

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