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東京五輪の侍ジャパンメンバーでもある西武の源田が巻き込まれた夫妻のSNSでの誹謗中傷問題についてSNSで事情を説明した(写真:長田洋平/アフロスポーツ)
東京五輪の侍ジャパンメンバーでもある西武の源田が巻き込まれた夫妻のSNSでの誹謗中傷問題についてSNSで事情を説明した(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

なぜ西武の源田は”文春砲”で明るみに出た夫妻の中傷被害問題についてSNS発信したのか…防ぎたかった同僚への”二次被害”とチーム&ファンへの思い

 

 西武のキャプテン、源田壮亮内野手(29)が21日、自身のインスタグラムで、同日に「文春オンライン」で「西武・源田の妻で元乃木坂46の衛藤美彩が誹謗中傷被害 “犯人”はチームメートの妻」とのタイトルで報じられた衝撃的な記事に対する説明と反論を掲載した。心配をかけたファンへの謝罪を自らの言葉で綴るとともに、実名が報じられたチームメートや、その家族への非難や誹謗中傷はしないでほしいと訴えた。野球界に大きな波紋を広げることになったが、あえて源田がSNSで発信した理由とは?

「事実と異なる内容が多い」

 29回目の誕生日を迎えた春季キャンプ中の2月16日以来、実に217日ぶりに更新された源田のインスタグラム(@gendagenda6)には、胸中に抱いているさまざまな思いが約900字にわたって綴られていた。

「この度の週刊誌報道について、お騒がせしております件に関してご報告です。事実と異なる内容が多かった為、自分の口からお伝えしたいと思います」(原文ママ、以下同じ)

 長文の投稿をこう書き出した源田は、数時間前に「文春オンライン」が報じた記事が、久しぶりにインスタグラムを更新させるきっかけになったと明かした。

 記事は民放テレビのスポーツニュースでの共演をきっかけに交際を始め、2019年10月に結婚した元乃木坂46の衛藤美彩さんが長男を出産した今年1月を境に、美彩さんのインスタグラムへ誹謗中傷のダイレクトメッセージが届くようになったと報じた。 しかし、実際は出産よりもさらに前から、ダイレクトメッセージではなく匿名のコメントを通じて、夫婦で被害にあってきたと源田はインスタグラムで明かした。

「私も妻も職業上、誹謗中傷というものは日常茶飯事受けてきております。しかし本件は私たちのSNS上の公開されているコメント欄に、球団内部情報や個人情報が約2年間に渡り、晒され続けておりました。私たちの家の住所、妊娠、その他様々な情報などが晒され続けたことにより、引っ越しはもちろんのこと、身の危険、自分の身近の人なのか?という人間不信や不安が続き、精神的に追い込まれた状態に陥ってしまいました」

 源田夫妻は弁護士を通じて、裁判所に発信者のアカウントなど情報開示請求を行った。投稿のなかでは情報開示請求に至った理由も綴られている。 「球団関係者が知人に話してしまったことが悪用されているのではと思い、極めて悪質であることと、身を守るためにもアカウントの開示請求に踏み切ることを決心しました。誹謗中傷を受けることが、どれだけの精神的苦痛や身の危険を感じるものなのか、身をもって体験したことで、世の中にも訴えかけていく心持ちもございました」

 しかし、裁判所を通じて目の当たりにしたのは、予想もしていなかった事実だった。これが記事のタイトルになった「“犯人”はチームメートの妻」となるが、球団に報告した源田は大きな騒動に発展しないように細心の配慮も施していた。 「しかし、発信者が私たちが想像もしていなかったチームメートの奥様と特定されたことにより、全てを内々で済ませることと、当該選手から野球を奪わないで欲しいという想いを球団に相談させて頂きました」  しかし、源田の配慮は思わぬ形で損なわれかけた。

「警察による当該選手の取り調べが練習中に急遽球場で行われることを受け、チームメートも報道の方々も察するものがあり、事実でないことや、意図しない形で情報が錯綜することを恐れ、球団と話し合った結果、チームメートのみに対して自分の口から事実内容を説明する運びとなりました」

 これが記事のなかで言及された、8月下旬に行われたミーティングとなる。しかし、自身の言動を含めた描写が、事実と大きく異なっていると源田は指摘した。

「報道には怒号や悔し涙などと記載されておりますが、上記の流れで開催されたものであり、怒号などはあげておりません。また悔し涙ではなく、苦しんできた想いが湧いてきて涙が出てしまいました。また当該選手はこの会には参加しておりません」

 チームメートに限定して伝えられた事実が、どのような経緯で「文春オンライン」へ伝わったのか、という疑問に対してはインスタグラム内では綴られていない。 それでも発信者の特定をもって事態が沈静化したいま、記事のなかで名前が明かされたチームメートに向けられる世間の厳しい視線が、自分たちを長く苦しめてきた非難や誹謗中傷に変わる事態だけは繰り返さないでほしいと源田は訴えている。

「平穏な日常が戻ってきたので、私たちが望むことはこれ以上何もございません。そして相手方のご家族への非難や誹謗中傷をなさらぬようご配慮頂ければ幸いです」

 ここまでの投稿を見ただけでも、誠実で優しい源田の人柄があらためてわかる。最愛の家族を守る大黒柱であると同時に、キャプテンとしてチームを束ねる立場として抱く、さまざまな思いとの板挟みで苦しんできた跡も言葉の合間から伝わってくる。

 公開された「文春オンライン」の記事の内容自体が衝撃的だっただけに、一部を除いて事実だと認めた源田の投稿は、大きな波紋を広げた。 それでも、源田があえてSNSで詳しい事情を発信した理由は、当該選手と、その妻への“二次被害”を防ぎたいという思いと、そしてCS出場権をかけて戦っているチーム、なによりファンへ迷惑をかけてしまったのではないかという気持ちからだろう。 源田は、最後に自身の名前を添えながら、球団関係者へ、なによりも大きなショックを受けたファンを逆に気づかう言葉で投稿を締めくくっている。

「最後に、球団関係者の皆様、応援してくださるファンの皆様、今回の件で多大なるご心配をおかけしてすみませんでした。 源田壮亮」

 残り5試合となったシーズンの大詰めになって、チームを大きく揺るがしかねない事態が明るみに出た。現在4位の西武はCS進出をかけて、3位の楽天を1ゲーム差で追う。しかし、残り試合は楽天が4つも多い。  苦しい状況だからこそ、一致団結を呼びかけたい。源田がチームへ向ける熱い思いも、217日ぶりに更新されたインスタグラムに反映されていたような気がしてならない。

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