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阪神は糸井嘉男の引退試合に勝利で花を添えることができなかった(資料写真・黒田歴夫)
阪神は糸井嘉男の引退試合に勝利で花を添えることができなかった(資料写真・黒田歴夫)

誰が悪いのか?阪神が4連敗でCS圏外どころか最下位転落危機…糸井の引退試合に延長11回”守乱”からまさかの6失点で5位転落

 

阪神が21日、甲子園で行われた広島戦に延長11回、4時間38分の激闘の末、4-10のスコアで敗れて4連敗、ついに5位に転落した。引退試合だった糸井嘉男(41)の代打ヒットが導火線となって2点差を追いついたが、延長11回に岩貞祐太(31)の守備のミスからピンチを広げて一挙6失点。チームの課題を露呈する形で、4位で並んでいた広島との直接対決に敗れ、また3位の巨人が横浜DeNAに2-1で勝利したことでクライマックスシリーズの出場権争いから大きく後退した。最下位の中日が9試合も残しており、最下位転落の可能性さえ出てきた。

岩貞のバント処理ミスから6失点

 “超人“の引退試合に花を添えることができなかった。  またしても自滅で連夜の悪夢である。4-4の緊迫したゲームが、たったひとつのミスをきっかけに6点を失うことになり終わってみれば4-10の大敗である。

 関西メディア各社の報道によると矢野監督は、「モヤモヤするような負けをつくってしまった」と振り返ったという。

「今年の阪神を象徴するような痛い敗戦となった」

 そう評するのは一昨年まで阪神で7年間コーチとしてユニホームを着ていた評論家の高代延博氏だ。

 4-4で迎えた延長11回。この回から7番手としてマウンドに上がった左腕の岩貞は一死から會澤を歩かせ、2回に逆転の7号2ランを放っている小園を打席に迎えた。バントか、強行か。小園はバントの構えをしていた。初球はボール。小園は見送った。そして2球目。小園のバントは三塁方向へと転がった。マウンドを駆け下りた岩貞と、途中から三塁に入った木浪が交錯するような形になったが、岩貞が処理して一塁へボールを送る。タイミングはアウトだったが、送球がそれて難しいワンバウンドとなり、カバーに入った小幡は捕球することができず、その場で転倒した。記録は犠打と岩貞のエラー。  守備コーチのスペシャリストだった高代氏は「木浪のエラー」と解説した。 「左投手の岩貞が三塁方向の打球を処理しようとすると動きが逆にになる。あれは木浪のボール。木浪が大きな声を出して処理していれば楽々アウトだ。結果的に、なぜああいうプレーが起きたかというと準備不足に他ならない。一塁手は、足のある代走が出ていたこともあり、そうチャージはかけられないが、木浪はバントだと読んで、もっとチャージをかけておくべき。小園は初球にバントの構えをした際に下半身が完全に投手側に正対していた。観察していればわかるはず。木浪は守備や走塁でこういうポカを犯してしまうがすべては準備不足からくるものだと思う」

 一死一、三塁となり代打磯村に四球を与えて満塁となった。

 トップの上本を迎えて、岩貞は、その初球にズバっとインコースのストレートでストライクを取り、2球目にボールになるスライダーを振らせて簡単に追い込んだ。岩貞が優位に立ったが、3球目のスライダーを三遊間に持っていかれた。

 高代氏は、ここでも「配球ミスがあった」と見た。

「3球勝負は間違っていないが、ボールになるスライダーにぶざまな空振りをした上本の脳裏に、そのボールは強くインプットされている。そこに今度はボールひとつストライクゾーンに入ってきたのだから打者はついていける。2球目と同じような明らかなボールで誘うか、あるいは裏をかいてストレートを選択すべきだった」

 勝ち越しを許し、続く菊池にも初球のストレートを狙い打ちされ、強い打球は中野の前でイレギュラーして外野へ抜けていった。さらに西川には、前進守備を敷いていた近本の頭上を越えていく2点タイムリー。阪神ベンチは岩貞から加治屋にスイッチしたが勢いは止められず、マクブルームにまで2点タイムリーを浴びて勝負ありである。

「ひとつのミスから6失点。克服できていない守備の乱れから、野球の怖さを思い知らされるゲームとなったが、岩貞も、実質エラーの木浪も責めるわけにはいかない。木浪は、どのポジションでもチャンスをつかまねばならない立場ではあるが、木浪1人だけでなくチーム全体で、こうも内外野でコロコロと守備位置が変われば、起こりえるミス。つまるところ、この1年、守備という課題に向き合えなかったのは、首脳陣ではないか」と高代氏も手厳しい。失策84はリーグワーストだ。

 

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