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JFLの鈴鹿ポイントゲッターズのFW三浦知良が国立競技場で行われたクリアソン新宿戦の後半31分から途中出場もシュートはゼロ(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
JFLの鈴鹿ポイントゲッターズのFW三浦知良が国立競技場で行われたクリアソン新宿戦の後半31分から途中出場もシュートはゼロ(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

“キングカズ”は11年ぶりに凱旋した“聖地”国立で何を思ったか…「皆さんが僕にゴールを期待しているのはわかるが…」

攻勢を強めてくる新宿へ、1トップに入ったカズは守備に重きを置いて奮闘し。その意味で終了間際に仕掛けたカウンターはシナリオ通りだった。
ただ、結果として自身が放ったシュート数は「0」に終わった。
 5月15日のHonda FC戦で6度目の先発出場を果たすも右太ももを痛め、前半だけでベンチへ退いた。回復途上で再び同じ箇所を痛め、計3ヵ月半もの長期離脱を余儀なくされた。
 9月4日のヴィアティン三重戦の後半35分からようやく復帰。以来、患部への負担が考慮されて、新宿戦を含めた6試合すべてで途中出場が続く。この間のプレー時間の合計48分間は、故障したHonda FC戦の45分間とほとんど変わらない。
 しかも、Honda FCから7試合続けて放ったシュート数が「0」のままだ。それでもカズは「チームが勝利を重ねるのが一番大事」と、5試合ぶりの白星を何よりも喜んだ。
「チームとしてどれだけチャンスを作っていけるか。そのなかで自分がフィニッシュに絡めればいいけど、ゴールだけにこだわるのではなく、サッカーの質もひとつひとつ高めていきたい」
 戦列を離れてる間に鈴鹿へ科された厳罰が、日本代表時代を含めてカズが常に大事にしてきた、フォア・ザ・チームの精神をさらに力強く脈打たせている。
 元幹部が過去に企てた八百長行為指示の代償として、J3昇格への前提となる「Jリーグ百年構想クラブ」資格が6月28日のJリーグ理事会で剥奪された。鈴鹿は処分を受け入れ、経営体制を刷新した上で来シーズンの資格再取得へ向けて準備を進めている。
 現状で9位のJFLで、どれだけ上位に食い込もうと憧れのステージにはたどり着けない。夢を閉ざされた状況で選手は何をするべきか。カズが力を込める。
「僕らにできるのはピッチの上で常にハードワークをして、残した結果をもってそれ(Jリーグ百年構想クラブ資格)を得るための力があると示すこと。そのための残り6試合にしたい」
 個人よりもチームを優先させるカズだが、いざピッチに立つと、旧国立競技場にまつわる個人的な思い出が脳裏に蘇ってきたと苦笑しながら明かした。
「あのころはすり鉢状でまたちょっと違うような気がしましたけど、でも(場所そのものは)ここなんだなと思いながら見上げていましたけどね」
 初めて旧国立競技場でプレーしたのはブラジルから鳴り物入りで帰国し、ヴェルディの前身となる読売クラブに移籍してから約4ヵ月後の1990年11月23日。新たに創設されたコニカカップで、ヤマハ発動機(現ジュビロ磐田)を2-1で下した決勝戦だった。

 

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