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先制ゴールを叩き込んだ神戸のFW大迫勇也(資料写真:YUTAKA/アフロスポーツ)
先制ゴールを叩き込んだ神戸のFW大迫勇也(資料写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

ドローもJ2降格圏を脱した神戸の大迫勇也が鹿島戦で派手なゴールパフォーマンスをした本当の理由とは?

 

 明治安田生命J1リーグ第22節の6試合が16日に行われ、ヴィッセル神戸が2位の鹿島アントラーズと1-1で引き分けた。敵地・県立カシマサッカースタジアムに乗り込んだ神戸は、後半7分にFW大迫勇也(32)の3試合連続ゴールで先制。相手に退場者が出て数的優位に立ちながら、終了間際の同42分に痛恨の同点弾を喫した。連勝は3で止まった神戸だが、勝ち点21でガンバ大阪に並び、得失点差で上回って15位に浮上。J2降格圏を脱出した。

「あれはリスペクト。鹿島に対しての」

 ありったけの思いを込めて吠えた。両手でガッツポーズを繰り出した。誇らしげに右手で左胸のエンブレムを叩いた。大迫が感情を爆発させたのは後半7分だった。

 センターサークル内へ下がりながら横パスを受けた大迫は、すかさず反転してドリブルで前へ進んだ。鹿島ゴールが近づいてきたところで、右サイドをフォローしてきたFW小田裕太郎(20)へパス。自らはゴール中央へ入り込んでいった。

 そして、小田が低空の高速クロスを上げる直前に、示し合わせたようにニアサイドへ素早くコースを変える。DFキム・ミンテ(28)の背後からその前方へ飛び出しながら、ここしかない、というポイントで頭をボールにヒットさせた。大迫が自画自賛する。

「流れ的にいい入り方ができたし、上手く当てることができたので」

 軌道を山なりに変えたボールが、ゴール左隅へ吸い込まれる。完璧な先制ゴールに虚を突かれたキム・ミンテも、守護神クォン・スンテ(37)もまったく動けない。その後に見せた派手なゴールセレブレーションの意味を、大迫は淡々とした口調で説明した。

「あれはリスペクトですよ、鹿島に対しての。お世話になったチームですし、いまもリスペクトしているので、僕としては得点できて本当に嬉しかった。あまり感情を出してはいけない、というのは日本のちょっと悪いところだと思っているので。スポーツは感情を出す。それがいいんじゃないですか」

 鮮やかな先制弾を流し込んだゴールの背後には、敵地まで駆けつけた神戸のサポーターが陣取っていた。両チームともに無得点の均衡を破った喜びを共有しながら、2009年に鹿児島城西高から加入して5シーズンにわたってプレーし、いまも深い愛着を抱いている古巣の鹿島へも、遠慮することなく高ぶらせた感情を介して思いを届けた。

 大迫が県立カシマサッカースタジアムのピッチに立つのは、鹿島での最後の試合となった2013年12月7日のサンフレッチェ広島戦以来、実に3143日ぶりだった。ドイツでプレーした7年半もの日々をへて、神戸へ移籍したのは昨年8月。古巣となった鹿島との対戦はすでにホーム、アウェイともに戦い終えていた。

 

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