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J1で初の女性審判として笛を吹いた山下良美氏。11月のカタールW杯に抜擢されることも決まっている(写真・アフロスポーツ)
J1で初の女性審判として笛を吹いた山下良美氏。11月のカタールW杯に抜擢されることも決まっている(写真・アフロスポーツ)

日本サッカー史に新たな歴史刻む…J1史上初の女性レフェリー山下良美氏のジャッジは両チームにどのように映ったか…長友の声は

 

11月に開幕するカタールワールドカップで、大会史上初の女性レフェリーに選出されている山下良美さん(36)が18日、東京・国立競技場で行われたFC東京-京都サンガF.C.で主審を務めた。J1リーグ戦の主審を女性レフェリーが担当するのも史上初。今年7月には日本サッカー協会(JFA)とプロ契約を結ぶなど、女性レフェリーのパイオニアとして新たな道を切り拓いた山下さんのジャッジは両チームにどのように映ったのか。

「僕が偉そうに言うのもあれですが素晴らしかった」

 おもむろに立ち上がった京都のFW豊川雄太が血相を変えて、両手を広げながら何かをアピールしている。後半が始まった直後の国立競技場のピッチ。豊川が距離を詰めていった先には、女性として初めてJ1の試合を裁いていた山下主審がいた。

 直前のプレーで最終ラインからのパスに反応した豊川が、敵陣の中央から縦へ抜け出しかけた直後にFC東京のMF東慶悟に後方から倒されていた。 すかさず山下主審がホイッスルを鳴り響かせる。東へファウルが宣告されただけで終わったジャッジが、豊川には納得できなかった。

「イエローカードだと思いましたけど、出なかったので」

 カードの対象だと食い下がる豊川の周囲に、FC東京の選手たちも集まってくる。対応次第ではさらにヒートアップしかねない展開で、山下主審は冷静だった。  豊川は「特に何も話はなかったですね」と、アピールに対する山下主審の反応を振り返る。両チームの選手たちを毅然といなしながら、バニシングスプレーでファウルと壁の位置を記した後に抗議の輪は解け、京都の直接FKで試合が再開された。

 19時のキックオフからさかのぼること約2時間。FC東京がホームの国立競技場に京都を迎える、明治安田生命J1リーグ第30節のメンバー表が公開された瞬間に、産声をあげてから30年目を迎えているJリーグの歴史が塗り替えられた。

 主審に割り当てられた山下さんの今シーズン、そして通算の担当試合数を示す欄にはともに「0」が並んでいた。J1デビューを直前に控え、おそらくは緊張しているはずの山下さんを慮るように、日本代表DF長友佑都によれば、FC東京のアルベル監督は試合前のミーティングで「(山下さんを)サポートしよう」と伝えたという。

 主審をサポートするという言葉の真意を、京都に2-0で快勝した一戦で、右サイドバックとして先発フル出場した長友が試合後に明かしてくれた。 「主審のジャッジに対して、選手も熱くなる部分があるんですよね。そこで感情をコントロールして、しっかりと審判に寄り添うというか、審判とともに試合を進めていくという気持ちだと思います。僕が偉そうに言うのもあれですけど、素晴らしかったんじゃないでしょうか。初めてには見えないぐらいの、堂々としたコントロールをしてくださった。試合も荒れなかったのは、審判の方々のおかげでもあるので」

 FC東京が1点をリードして迎えた後半15分に、山下主審はこの試合で最初のイエローカードを提示している。警告の対象になったのは、相手選手を後方から止めた際に自身の手が引っかかる形になった京都のDF白井康介だった。

 

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