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2016年以降のフォーシームの抗力係数 (参照:baseballsavant.mlb.com)
2016年以降のフォーシームの抗力係数 (参照:baseballsavant.mlb.com)

大リーグでホームランが激減した理由とは…大谷翔平が2本塁打の後に語った「去年よりボールが飛ばない」は本当なのか

 他にも、公式球を保管するヒュミドール(ボールに一定の湿気を含ませる設備)の影響も指摘されている。baseballsavantによると、昨年は10チームしかヒュミドールを使っていなかったが、自然保管では地域によってボールに含まれる湿気に差がでて、それが飛距離にも影響しうるので、その要素を排除するため今年から全30球団がヒュミドールを使用することが義務付けられた。

 高地にあるデンバーでは相対湿度を67%に設定し、他の球団は57%に設定して公式球を管理しているという。ヒュミドールの室温は21.1度で統一。  乾燥し寒い春先などは、自然保管したボールと比較した場合、ヒュミドールで保管したボールの方がより多くの湿気を含むので、反発係数が小さくなる。当然、飛距離減につながる。逆に暖かくなってくると、外の湿気が増すので、ヒュミドールで保管されているボールの方が、相対湿度が低くなり、その場合は反発係数が上がって飛距離アップが見込まれている。

 前出のESPN電子版によれば、今年4月、すでにヒュミドールが使われていた球場ではフライボールに対するホームランの割合が0.7%の減少にとどまったのに対し、今季からヒュミドールが導入された球場では2.4%も減ったそう。

 こうしてたどっていくと、抗力係数が大きくなったこと、ボールの製造過程に手が加えられ反発係数が小さくなったこと、そして、ヒュミドールの設置という3要素により、打球が飛ばなくなったのではーーと読み解ける。

 ただ、大谷の状態が本来のものであれば、この程度は誤差の範囲か。昨年もある程度は飛ばないボールが混入していたが、それを感じさせなかった。9日の試合後、飛ばない影響を認めつつも、大谷はそのことを証明したのだった。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)

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