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急逝したチームOB工藤さんに捧げる広島の初V。現役時代の背番号「9」をDF塩谷司、「50」は柏時代の1年後輩の控えGK川浪吾郎が掲げた(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
急逝したチームOB工藤さんに捧げる広島の初V。現役時代の背番号「9」をDF塩谷司、「50」は柏時代の1年後輩の控えGK川浪吾郎が掲げた(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

急逝した元チームメイト工藤壮人さんに捧げる広島のルヴァン杯初優勝…「今日の僕たちは工藤と共に戦った」

 広島のゴール裏に「工藤壮人の魂は永遠に俺達と共に」と、セレッソのそこには「工藤壮人を俺たちも忘れない」と綴られた横断幕が掲げられた。佐々木も決意を新たにした。
「健康でサッカーができるいまの環境に感謝しながら、彼の分も僕たちはプレーし続けなきゃいけない。失礼なプレーは見せられない、精いっぱいのプレーをしようと。そういう感情でした」
 一進一退の攻防が繰り広げられた一戦は、予期せぬ形でセレッソにゴールが生まれた。
 後半8分。広島のバックパスを、判断よく飛び出した広島ユース出身のFW加藤陸次樹(むつき、25)がカット。そのまま東京五輪代表GK大迫敬介(23)をもかわし、最後は体勢を崩しながらもしっかりと右足を振り抜いて無人のゴールへボールを流し込んだ。
 バックパスをカットされたのは佐々木だった。
「不運でも何でもなく、僕の実力不足です。このまま試合が終わったら、試合後に記者さんたちの前で、僕の力のなさを話さなきゃいけないのかと思っていたほどでした」
 全身から力が抜けそうなほどのショックに見舞われた佐々木を鼓舞したのは、若手や中堅、そしてベテランの垣根を越えて一体となり、ここからだと盛り上がったチームの雰囲気だった。
 まだ記憶に新しい6日前の天皇杯決勝。延長戦を終えても1-1のまま決着がつかず、もつれ込んだPK戦の末にJ2の甲府に史上最大のジャイアントキリングを許した。
 同じ思いは絶対に繰り返したくない。反骨心を介して広島に関わるすべての人々が奮起するとともに、それぞれが抱く工藤さんへの思いも加わったと佐々木は振り返る。
「(キャプテンとして)特に声がけはしていません。みんなも処理できなかったと思うけど、それでも背負ってプレーしていくことが僕たちには重要でした。(現実を)しっかりと受け止めながら、それぞれが多くの思いを抱きながら、タイトルを目指してプレーしていこう、と」

 

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