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青森山田高からJ2町田の新監督に就任した黒田剛氏の初陣はスコアレスドロー(写真:松尾/アフロスポーツ)
青森山田高からJ2町田の新監督に就任した黒田剛氏の初陣はスコアレスドロー(写真:松尾/アフロスポーツ)

プロでも青森山田高スタイルが通用?!異例の転身を遂げたJ2町田の黒田新監督がロングスローまで繰り出してスコアレスドロー発進

 明治安田生命J2リーグ開幕節が19日に行われ、青森山田を高校サッカー界屈指の強豪に育て上げた名将・黒田剛氏(52)を新監督に迎えたFC町田ゼルビアが、ホームの町田GIONスタジアムでベガルタ仙台と0-0で引き分けた。合言葉に「勝つ、イコール、守れること」が掲げられた一戦で、前線からの連動したプレスと球際の激しさで仙台をシャットアウト。攻めては青森山田の代名詞だったロングスローを導入するなど異例の転身を果たした指揮官のカラーが打ち出された船出となった。

 ロングスローを任されたのは左サイドバックの翁長聖

 

 青森山田の戦いで見慣れた光景が、プロの舞台でも再現された。
 左右のタッチライン際に、町田があらかじめ置いていたタオル。ロングスローを放つ前にボールの表面を丁寧に拭き、飛距離とスピード、そしてコントロールを保つために欠かせない“アイテム”が初めて使われたのは、前半のアディショナルタイムだった。
 敵陣左サイドの深い位置で町田が獲得したスローイン。左サイドバックの翁長(おなが)聖(27)がまずはタオルでボールを拭き、そしてピッチを取り囲む陸上トラック方向へ遠ざかっていく。十分な助走を取ってから抜かれた伝家の宝刀。低く、速い軌道を描きながら仙台のゴール前へ迫っていったロングスローはしかし、仙台の守護神・林彰洋(35)にキャッチされた。
 ともに得点を奪えない展開で迎えた、後半44分とアディショナルにも翁長に出番が訪れる。右サイドでスローインを得るたびに、逆サイドからピッチを横切ってスタンバイ。前者ではロングスローからの流れで、翁長が絶妙のクロスをファーサイドへ送る。DF池田樹雷人(じゅらと、26)が放ったヘディングシュートは、ゴールバーのわずか上を超えていった。
 プロ指揮官の初陣をスコアレスドローで終えた直後の公式会見。青森山田の代名詞だったロングスローを、町田の戦いにも導入した理由が黒田監督に問われた。
「ゴールがほしいときには、われわれの武器のひとつとして活用していく。サッカーでは重要なことだと考えて、何回かトレーニングをしたなかで今日を迎えました。回数はそれほど多くなかったですが、プロの選手はやはり身長も高いし、なかなか上手くいかない。投げるポイントも含めて、もう少し工夫をする必要があるかなと思っています」
 3度のロングスローをこう振り返った黒田監督は、V・ファーレン長崎から大宮アルディージャを経て、昨シーズンから町田でプレーする翁長を指名した理由にも言及している。
「私が来る前から、彼はロングスローを投げられる、という話は聞いていたので」
 高校サッカー界からダイレクトでJリーグへ、しかも監督として移籍するという前例のないチャレンジの第一歩を踏み出した黒田監督は、中央大から長崎へ加入した2017シーズンからロングスロワーを担ってきた翁長へ「投げられるの」と声をかけて確認している。
 もっとも、ロングスローはあくまでも攻撃のオプションのひとつにすぎない。オフに19人もの新戦力が加わったチームが始動した1月10日から、キャンプを含めた日々の練習で何度も唱えてきたのは、青森山田時代から貫いてきた常勝軍団の大原則だった。

 

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