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ヤクルトの主砲、村上宗隆が”無双”の打撃でチームを引っ張っている
ヤクルトの主砲、村上宗隆が”無双”の打撃でチームを引っ張っている

球界大御所がヤクルトにマジック点灯のセ・リーグを一刀両断…「ヤクルトは独走Vする。巨人のメークドラマなどない」

 その上で広岡氏は、こう結論をづけた。

「ヤクルトは、このまま独走するだろう。巨人のメークドラマなどない。夢みたいな話だ。もちろん阪神も届かない。すでにヤクルト以外のチームは、クライマックスシリーズ(CS)出場狙いに照準を切り替えているようにも見える。そうなってしまっては逆転などない」

 1996年には長嶋巨人が11.5差を逆転してメークドラマの流行語を作った。2008年には原巨人が阪神との最大13差を逆転してメークレジェンドを成し遂げた。過去の例から見れば13.5差からの逆転の可能性はゼロとは言えないのだが、OBの広岡氏は、巨人に関してはとりわけ厳しい見方をしている。 「野球がまったく進化していない。先発投手陣に菅野に続く柱が出てこないし、中継ぎは疲弊してしまっている。大勢も宝の持ち腐れだ。横浜DeNAからFAで獲得した梶谷と井納はどこにいるのか。若手にも個性のある選手がいない。才能、素質のある選手はいるが指導者が育てきれていないのが現実だろう」  

 4番の岡本も村上と比較して一刀両断。

「村上は下半身、つまり体幹がしっかりしているから、ぶれないし崩されない。打席での顔つき、ピンチになった際の投手への激励の仕方などを見ていてもメンタルの強さを感じる。打率が難関で3冠王は難しいのかもしれないが2冠はとる。対照的に岡本には力感がなくなっている。数字もそうだが、4番として村上には、大きく差をつけられた。2人の環境の違いも影響していると思う。ヤクルトはメジャー経験のあるチームリーダーの青木がどんと構えていて村上の責任を軽減させ、自由にやれるように支えているように見える。巨人には坂本がいるが、岡本を引き上げてやるようなリーダーシップには欠ける。坂本のように怪我で試合に出られない期間を作る選手はリーダーにはなれない」

 村上は打率.307、29本、78打点。一方の岡本は打率.256、20本、60打点である。

 ヤクルトが独走してしまうのであれば、ペナントレースの焦点はCS争いに移ることになる。こういうケースを想定してファンの興味が最後まで失われないことを目的のひとつとして導入された制度である。だが、広岡氏は逆の意見だ。

「CS争いに興味はない。最終的に何ゲーム差をつけるかわからないが、独走Vしたヤクルトが、もしCSで敗れたりすれば、日本シリーズの価値はどうなるのか。他球団の体たらくで招いたヤクルトの独走は、逆にCS見直し論に発展すべき機会なのだ」

 広岡氏はチーム数の多いメジャーリーグのポストシーズンを日本に導入するには無理があり、利益追求主義にしか見えず、「昔の形式に戻すことを希望するが、それが無理であれば、コミッショナーがリーダーシップをとり、なんらかの形式変更を考えるべきではないか」と提言する。

 具体的な新方式の提言はなかったが、ゲーム差に応じて、なんらかのハンデを与えるなど、より優勝チームが日本シリーズ進出の可能性が高くなるような方策が必要だと考えているようだ。ヤクルトは巨人と今日から東京ドームで3連戦を迎える。  (文責・駒沢悟/スポーツライター)

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