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非常事態のヤクルトを残った4番の村上が引っ張る覚悟
非常事態のヤクルトを残った4番の村上が引っ張る覚悟

27人離脱のヤクルトに恵みの雨も続く非常事態…公平性に欠く再開に疑問

 

新型コロナの陽性判定による離脱者が1、2軍合わせて大量27人も出たヤクルトは「特例2022」の規約に従い、14人を2軍から緊急昇格させて12日、愛知県・豊橋市で開催予定だった中日戦に備えたが、試合は雨天中止となった。一方の中日もポイントゲッターの阿部寿樹内野手が濃厚接触者に指定されて離脱。両チームにとって恵みの雨となったが、競技の公平性が担保されず疑問の残る強行日程となっている。

スタメンに並木、武岡、古賀の若手3人を抜擢

 ご当地、豊橋出身の中日OB藤井淳志氏の始球式が終わった直後に雨がまた強くなった。試合直前になって降り始めた雨がひどくなり、豊橋市民球場の土のグラウンドは、ぬかるみ状態。スポンジで水を吸い取るなどの懸命な整備が行われていたが、グラウンドコンディションの回復も難しいことから、総合的な判断で18時10分に中止となった。

 報道によると、新型コロナにより戦列を離れた高津監督に代わって指揮を執るヤクルトの松元ユウイチ作戦コーチは「みんないい準備をしていた。残念ですね」とのコメントを残したという。マジック「49」が灯ったヤクルトだが、新型コロナの陽性反応で1、2軍合わせて27人もの離脱者が出た。

 野手では、塩見、山田、青木、中村、川端、長岡らの主力、投手では、先発陣は高梨だけだが、快進撃を支えてきたブルペン陣からは、田口、清水、大西が陽性判定を受けた。1軍だけでなく2軍の試合もできない状況となり、9、10日の阪神2連戦は中止となったが、2試合の中止だけでゲームを再開することが、NPBの実行委員会で決定して、この日、ヤクルトは、陰性判定を受けた14人をファームから引き上げた。

 ヤクルトのスタメンは、1番センター並木、2番ライト山崎、3番レフト荒木、4番サード村上、5番ファースト、オスナ。6番ショート西浦。7番セカンド武岡、8番キャッチャー古賀、9番ピッチャー、サイスニードだった。

 2年目の並木は、今季初昇格初スタメン。大学時代の50m走で5秒32を記録、日ハムの五十幡より速かったため「『サニブラウンに勝った男』に勝った男」の異名を持つ韋駄天だ。ファームではイースタン2位の打率.293、同トップの18盗塁をマークしている。3年目の武岡も同じく今季初昇格初スタメン。八戸学院光星高時代に甲子園で活躍して母校の先輩である坂本勇人を超える逸材として期待されている若手だが、今季はイースタンで打率.240と苦しみ、長岡に先を越された。

 3番には、本来ならば、内外野の守備、代走要員のベテラン荒木が5月28日の楽天戦以来となる今季2度目のスタメン。ただ打率.214の数字しか残っていない。長岡にポジションを奪われる形になった西浦も今季初スタメンである。

 一昨年まで阪神で7年間コーチをした評論家の高代延博氏は、このスタメンを見て「苦肉の策なのだろう。評論のしようがない。山崎、村上、オスナが残っているので、いかに村上、オスナの前に走者を貯めるかという戦いになると思う。ピンチはチャンスというが、並木、武岡、古賀という若手は絶好のアピール機会。長岡にレギュラーを奪われた西浦もそうだろう。昨年も主力の多くが新型コロナで離脱した際に抜擢を受けた若手が1球1球に執着心をもってプレーして戦力不足をカバーしたことがあった。その再現に期待するしかないだろう」という感想を抱いた。

 

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