森保監督はポストプレーのできるFW大迫勇也をW杯メンバーから外した(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
森保監督はポストプレーのできるFW大迫勇也をW杯メンバーから外した(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

森保Jは大迫、原口抜きでW杯のグループEを勝ち抜けるのか?

 ハリルジャパン時代や前回大会で、原口も左右のサイドアタッカーとして活躍した。しかし、ロシア大会後の所属クラブの主戦場はインサイドハーフ。森保ジャパンにおける位置づけも、中盤のユーティリティープレーヤーとなって久しい。
 サイドアタッカーとして現状を比べた場合は、ドリブラーとして進境著しい相馬に軍配が上がる。森保監督が主戦システムにすえる4-2-3-1の両サイドハーフだけでなく、試合中に3バックに移行した場合の両ウイングバックとしてもプレーできる。
 しかし、原口を選外とした日本は大切なものを失いかねない。
 森保ジャパンが立ち上げられた4年前から、原口はほとんどの代表活動で招集されてきた。先発を含めた出場機会が著しく限られた状況でも、練習開始前のランニングでは先頭に立って走り、大きな声を張りあげて周囲を盛り立ててきた。
 試合に出られなければ、選手はどうしても心の片隅に不満が溜まっていく。原口本人は「チームを引っ張るとか、まとめることはあまり考えていない」を口癖にしてきたが、実はチームビルディングで欠かせない存在を担ってきた。絶対に腐らず、努めて前を向く明るい立ち居振る舞いが、選手起用の硬直化が指摘されてきた森保ジャパンで無意識のうちに控え組を鼓舞してきた。
 26人のなかでワールドカップ経験者は7人。全員がボランチを含めた守備陣で、大迫と原口の選外に伴って攻撃陣ではゼロになった。その影響の有無も記者会見で問われた。
「経験者の力を借りたいという選択肢も、まだまだ考えるところはある。経験者の存在は非常に大切だが、経験のない選手たちの『ワールドカップで成功したい』という野心を持ち、戦ってくれるエネルギーに期待した。伸びてきている経験の浅い選手たちの芽も大切にして戦いたい」
 故障中のDF板倉滉(25、ボルシアMG)やMF守田英正(27、スポルティング)、MF田中碧(24、デュッセルドルフ)、浅野、そして久保もヨーロッパに派遣しているスタッフの報告をもとにメンバーに加えた。指揮官は自ら四文字熟語を持ち出し、本番へ向かう気持ちを表した。
「行雲流水ですね」
 自然のなりゆきに任せて、よどみなく行動していく――。この先にどんな事態が起ころうが、戦いに臨む26人を選び、公表した以上はもう振り返らない。信念と覚悟をリストに込めた森保監督は6人の国内組やスタッフとともに、9日に決戦の地カタールへ飛び立つ。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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