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原巨人の今オフのFA戦略は全滅?!(資料写真・黒田史夫)
原巨人の今オフのFA戦略は全滅?!(資料写真・黒田史夫)

なぜ巨人は“FA不人気球団”に成り下がったのか…条件闘争の時代から働きやすい環境重視の時代へ

 FA選手の獲得に関しては、チームによっては、あらゆる条件が「サイドレター」としてプラスされ、前チーム時代の練習パートナーが一緒に移籍するケースや、複数年契約は、もちろん引退後の身分保障まで行う場合も。巨人は、そのあたりの条件は手厚いが、結果が出なければ原監督の信頼を失い出場機会がもらえなくなる。

 橋上氏は加えてFA選手の志向の変化を感じるという。
「FA経験者の何人かに話を聞いてみたが、昔のような契約年数や年俸などの条件がいいチームを選ぶのではなく、自分に合った力を発揮しやすい環境のチームを優先したいという選手が多い。仲のいい選手がいるとか、高校、大学、社会人などの出身母体が同じで、つながりのある人が、フロント、監督、コーチにいるとかの人間関係を重視する。またどのチームもデータ重視の野球に変わっているので、すでにデータがあり対応に戸惑いのない同一リーグへの移籍を希望する選手も増えている。今回のFAの目玉の近藤と森は、いずれもパの選手。巨人は移籍先としてなおのこと不利なのかもしれない」
 確かに、ここ5年間のFA選手の動向を見てみると、計15人のFA選手の移籍があったが、他リーグへ転出した例は、2017年の野上亮磨(西武→巨人)、大野奨太(日ハム→中日)、2018年の炭谷銀仁朗(西武→巨人)、西勇輝(オリックス→阪神)、昨年の又吉克樹(中日→ソフトバンク)の5人。同一リーグの移籍が好まれる傾向にある。
 巨人にしてみれば今季打率.302、8本塁打、41打点、出塁率.418を残した近藤と、2019年の首位打者&MVPの“打てる捕手”森が、セのライバル球団に加入しそうにないことだけが救いなのだろうが…。ちなみに橋上氏は、「優勝争いのできるチームでプレーすることを求めている近藤はオリックスかソフトバンク。森はオリックスが有力では。沖縄出身の嶺井は高校の先輩の東浜もいるソフトバンク」と予想している。
 札束にモノを言わせた巨人のFA戦略が批判を受けてきた時代もあった。生え抜きの若手を育成して「チームを土台から強くする」という本来あるべきチーム強化の形に立ち戻ったと考えれば、巨人が向かっている方向は決して悪くはないのだが…。
(文責・RONSPO編集部)

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