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ケガ人続出の森保ジャパンはW杯への最終テストでベスト布陣を組めなかった(写真・ロイター/アフロ)
ケガ人続出の森保ジャパンはW杯への最終テストでベスト布陣を組めなかった(写真・ロイター/アフロ)

城氏が森保Jを辛口採点「士気上がらぬカナダ戦負けは30点。メンバー固定のツケが今頃…W杯ドイツ戦へ不透明な部分が多い」

 しかし、なぜ今頃?という疑問を抱かざるを得ない。
 この4年間、ほぼメンバーは固定で、「呼ぶが使わない」という起用法を続けてきた“ツケ”が肝心のW杯本番を前にして回ってきたのではないか。鎌田のボランチにしても、相馬の右のサイドハーフにしてもテストチャンスはこれまでにあった。11月開催の特殊なW杯事情からくる怪我人の続出をある程度予期してリスクヘッジしておくべきだっただろう。慌ててドタパタしてはロクなことがない。
 試合後に吉田もコメントしていたが、守備プレスをどこで、どういう強度でかけてボールを奪うのか、というチームとしての意思統一が見えなかった。高い位置でボールを奪い、ショートカウンターを仕掛けるどころか、逆に中盤でのボールロスが目立った。
 前線でのプレスがきいていない証拠。守備になると、浅野、南野のツートップが、献身的な運動量でボールを追うのが、日本の特徴だが、南野は、前半ほとんどボールに触われていない。やはりスタメン組とサブ組との力の差が顕著だ。怪我人が続出して、なおさらチームが抱えてきた問題点が浮き彫りになった。
 残り5分(アディショナルタイムがプラス4分)で、吉田を投入して3バックの「3-4-3」を試した。W杯のどの試合を想定したかはわからないが、同点あるいはビハインドの展開で得点をしなければならないケースでのオプションを確認したのだろう。
 FWで局面を打破することが難しいチームだけに、ワイドに人数をかけて攻撃に厚みを持たせて、サイドから切り崩す展開で得点につなげたいという狙いだ。
 実際、右サイドの山根がシュートを放ち、結果的にゴールポストに嫌われたが、抜け出して決定的なチャンスを作った。だが、せめてもう5分早い時間帯から3バックを試しておかなければ、本番の想定テストとはならない。
 ドイツ戦まで中5日しかないことを考えると、GKの権田を除き、この試合でフル出場した伊藤、柴崎、相馬、谷口らのドイツ戦でのスタメンはないだろう。またDFの中山に替えて追加招集したFWの町野もここでテストしないのだから使う気はないのかもしれない。
 予想としては、ワントップに前田を置いてがんがんボールを追わせ、2列目は左から久保、鎌田、伊東、ボランチは、遠藤と守田で組み、最終ラインは長友、吉田、冨安、酒井の並びになると思う。
 問題は、脳振とうを起こした遠藤と守田が間に合うかどうか。今回、柴崎はアピールに成功したが、守備面には不安が残るので、この2人が稼働できなければ厳しい戦いを余儀なくされることになる。これだけコンディション不良の選手が多いと、3試合をすべて固定したベストメンバーで戦うことはとうてい不可能。第2戦のコスタリカ戦は、またガラっとメンバーは変わるだろうし、過去に例のない戦いが予想される。
 森保監督は、選手の最終的なコンディションを、どこでどう判断して、どんな組み合わせが最善だと決断するのか。交代のカードをどのタイミングで切るかも含めて、指揮官の選手の状態を見極める力と決断力が勝敗を分けることになりそうだ。
(文責・城彰二/元日本代表FW)

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