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アルゼンチンのメッシとフランスのエムバペは共に5ゴールで得点王争いをしている(写真・AP/アフロ)
アルゼンチンのメッシとフランスのエムバペは共に5ゴールで得点王争いをしている(写真・AP/アフロ)

今日W杯決勝!メッシのアルゼンチンか、エムバペの仏か…攻撃、守備、組織、采配の観点で比較分析してみると…

 メンバー選考の時点で、ロシア大会の主力だったポール・ポグバ(29、ユベントス)とエンゴロ・カンテ(31、チェルシー)の両ボランチが負傷で選外になった。開幕直前にも今年のバロンドールを受賞したFWカリム・ベンゼマ(34、レアル・マドリード)が負傷離脱している。
 それでも2012年からフランスを率いるディディエ・デシャン監督(54)は、ベンゼマの代役を招集しなかった。オーストラリアとのグループステージ初戦の開始早々にテオの実兄、リュカ・エルナンデス(26、バイエルン)が負傷離脱して以降は、他チームより2人少ない24人の陣容ながら、出場機会に飢えていた若手や中堅が層の厚さを見せつけて連覇へ王手をかけた。
 アルゼンチンよりも1日少ない中3日で迎える決勝で、コンディションにやや不安を抱える、特に最終ラインの選手たちをどのようにやり繰りしていくのか。デシャン監督が10年あまりの歳月をかけて作り上げてきた組織力が、あらためて問われようとしている。
 どの試合でも重要な先制点が、決勝ではとりわけ重要になる。
総合力でやや上回るフランスが先制すれば、攻めざるをえないアルゼンチンを自陣に引き込みながら、エムバペのカウンターを中心に優位に立てる。対照的に0-0のまま推移していけば、アルゼンチンがメッシの爆発力に乾坤一擲の勝負を託す展開が生まれる。メキシコ戦以降の5試合であげた11ゴールのうち、7ゴールが後半に集中しているのも粘り強く戦う証といっていい。
 ここで問われるのが両指揮官の【采配力】となる。
 フランスはここまでグリーズマン、ジルー、デンベレ、そしてエムバペが万全な状態でプレーしている。対照的に途中出場でゴールをあげた選手が、モロッコ戦でダメ押しの2点目を決めたFWランダル・コロ・ムアニ(24、アイントラハト・フランクフルト)だけにとどまっている。
 5枠ある選手交代枠をイングランド戦で「4」も、モロッコ戦でも「3」を残している。こうした点からも、デシャン監督はほぼ不動のメンバーのモチベーションを可能な限り高めて、目の前のピッチに送り出す仕事により大きな比重を置いているのかもしれない。
 一方の全試合で先制しているアルゼンチンのスカローニ監督は、後半途中から3バックにスイッチ。さらに守備を固める采配をふるったかと思えば、PK戦の末にオランダを下した準々決勝では3バックでスタートし、延長後半途中から4バックに変えて攻勢を強めた。両チームともに無得点のまま後半を迎えれば、アルゼンチンのペースといっていいかもしれない。
 両チームの直近の対戦は、前回ロシア大会の決勝トーナメント1回戦。壮絶な点の取り合いの末にフランスが4-3で勝利した一戦で2ゴールをあげたエムバペも、敗戦にうなだれたメッシも、今大会の得点王の最短距離にいながら「個人の名誉よりも優勝」と口をそろえる。
 60年ぶり3カ国目の大会連覇で黄金時代を手繰り寄せたいフランスか。それとも、英雄ディエゴ・マラドーナ(故人)を擁した1986年大会以来、36年ぶりの頂点を狙うアルゼンチンか。ブラジルの5度、イタリアとドイツの4度に次ぐ歴代単独4位の3度目の優勝をかけた大一番は、日本時間の19日0時に全世界注目のキックオフを迎える。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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