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アルゼンチンのメッシが5大会目の出場となったW杯でついに頂点に立った(写真・新華社/アフロ)
アルゼンチンのメッシが5大会目の出場となったW杯でついに頂点に立った(写真・新華社/アフロ)

メッシ率いるアルゼンチンの36年ぶりW杯優勝から日本代表が学ぶべき点はどこにあるのか…城彰二氏の分析

 

 後世に語り継がれる歴史的な決勝戦だったのではないか。今大会を最後のW杯と決めていたアルゼンチンのメッシがワールドカップを掲げ、敗れたもののフランスの23歳エムバペがハットトリックを決める。 
 2人のスーパースターの活躍に加え、プレーの質がハイレベルで、攻撃的なサッカーを貫き、そこに両チームの監督が5枚の交代枠を使って戦術を変える采配の駆け引きが加わった。最後はPK戦での決着となったが、サッカーの醍醐味が集約された名勝負だったと思う。
 アルゼンチンは準々決勝のオランダ戦のように「5-3-2」のシステムでフランスに対抗するのかと予想していたが、攻撃時には「4-3-3」へ可変させる「4-4-2」のシステムで臨んだ。中3日のフランスが、その疲れから、動きが鈍かったこともあり、前半どころか、後半の30分過ぎまでアルゼンチンが完全にゲームを支配した。
 スカローニ監督は、先発復帰させたディ・マリアを本来の右サイドではなく、意表をついて左サイドで起用。その左サイドで主導権を握り、前半23分にメッシのPKで先制すると、同36分には、ディ・マリアが左足で2点目を追加。このまま逃げ切るかに思えた。
 だが、60年ぶりの連覇を狙うフランスはあきらめなかった。デシャン監督が動いた。1本のシュートさえ打てていなかったが、前半41分に今大会4ゴールのジルー、右サイドのデンベレを下げてコロムアニ、テュラムを投入。少しリズムを取り戻して息を吹き返し、後半26分には、攻撃の要であるグリーズマンをコマンと交代させるなど、さらに2枚替えをした。前線に4枚を並べ「4-2-4」にシステムを変更。中盤を大きく空けて、そこでの攻防を取っ払って、前へいくという大胆な戦術で一気に勢いを取り戻した。
 同35分にエムバペがPKを決め、そのわずか1分後にエムバペがテュラムとのワンツーから芸術的なボレーで同点ゴールを決めたのである。
 ただデシャン監督に誤算はあった。アルゼンチンが5バックに変えて対応してくると予想して4枚を前線に並べたのだろうが、スカローニ監督は、その策には乗らずに4バックのまま我慢して対応したのだ。スカローニ監督は、延長になってから選手交代に動いたが、2人の指揮官の息詰まる采配戦にも見応えがあった。
 この決勝戦から日本が学ぶべき点はどこにあったか。
 まずはPK戦での勝ち方である。

 

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