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W杯で世界を驚かせた三笘の1ミリ(写真・AP/アフロ)
W杯で世界を驚かせた三笘の1ミリ(写真・AP/アフロ)

なぜ三笘薫は1654人の選手間投票で初代MVPに選ばれたのか…将来の海外組へ贈った3つのメッセージ

 大学を経由した理由を「中長期的なビジョンで、自分自身やサッカーを見つめたかった」と語ったことがある三笘は、卒業論文のテーマを「サッカーの1対1の場面における攻撃側の情報処理に関する研究」に設定。特にドリブル突破に磨きをかけた日々が、卒業後の2020シーズンに復帰する形で加入した川崎での大ブレークにつながった。
 チャンスメーカーから左サイドを主戦場とするドリブラーへ、しかも相手ゴール前へ積極果敢に切れ込んでゴールに絡む能力も搭載したスコアラーへ変貌。昨年12月下旬に再開されたリーグ戦でも全4試合に先発した三笘は、すでに2ゴールを積み重ねている。
 世界中から猛者が集うプレミアリーグを畏怖させる存在になったと言っていい三笘は、最新の順位で7位につけている好調のブライトンを、今シーズンが終わった時点でできるだけ上位へ進出させる目標ともにビデオメッセージを締めている。
「トップ6を目指して、チームとして頑張っていきたい。そして個人では数字にこだわって、ゴールやアシストで毎試合勝利に貢献していきたい」
 カタール大会での鮮烈な活躍を通して、三笘は子どもたちから憧憬の眼差しを注がれるアイコンになった。さらに「選手一人ひとりが、もっと相手の脅威にならなければいけない」とさらなる成長を誓っている。ビデオメッセージとはいえ、肉声がなかなか届かない三笘のコメントが日本へ送られてくるのも、JPFAアワードにもたらされる効果となる。
「日本サッカー界全体で、いまの熱を途絶えさせてはいけないので」
 JPFA会長として臨んだオンライン取材で吉田が語った決意の一端が、新設されたアワードに反映されている。もっとも、吉田自身は「JPFAカテゴリー」のベストイレブンに選出されていない。昨年を通したパフォーマンスを客観的な視線を介して振り返ったときに、吉田は「僕自身も僕には入れていない」と明言。その上でこんな言葉を紡いだ。
「フェアな結果だし、これこそが切磋琢磨。僕自身悔しさもあるし、そこのポジションを取り返したい。どこのポジションでもそういう刺激が起きたらいいなと」
 ビッグクラブが獲得へ向けて熱い視線を送っていると、欧米メディアの間で報じられた三笘の現在地が、日本人選手の評価を介しても認められた第1回目のJPFAアワード。吉田は「これが100年、200年と続き、日本のサッカー選手の価値が高まっていけば」と思いを託し、ブンデスリーガ1部の再開が今週末に迫っているシャルケの練習へ慌ただしく向かった。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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