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J1の名古屋グランパスは20日、名古屋グランパスの日本代表MF相馬勇紀がポルトガル1部カザピアへ期限付き移籍(写真・AP/アフロ)
J1の名古屋グランパスは20日、名古屋グランパスの日本代表MF相馬勇紀がポルトガル1部カザピアへ期限付き移籍(写真・AP/アフロ)

W杯で不完全燃焼だった相馬勇紀は移籍決定のポルトガル1部カザピアで「世界のSOMA」になれるのか?

 最短距離を突き抜けるドリブル突破を思い浮かべたときに、相馬も「その通りだ」とひらめいた。迎えた東京五輪本番。U-24メキシコ代表とのグループステージ第2戦での前半11分に、酒井直伝の“必殺技”を繰り出した相馬はペナルティーエリア内でファウルを獲得。MF堂安律が決めたPKによる2点目が、2-1で逃げ切る決勝点になった。
 プロ4年目だった昨シーズンの相馬は、リーグ戦で初めて全34試合に出場。プレー時間は名古屋の攻撃陣で最長の2589分を数え、代表でもJリーガーだけの陣容で臨んだ7月のEAFF E-1選手権で3ゴールをマーク。FW町野修斗(23、湘南ベルマーレ)ともに大会得点王を獲得し、さらにMVPにも輝いて森保ジャパン優勝の立役者になった。
 カタール大会代表にもサプライズの形で選出され、開幕直前に行われたカナダ代表戦では前半8分に先制点をゲット。右サイドハーフおよびシャドーでフル出場し、ドリブルやスピードだけでなく豊富な運動量、球際の攻防での激しさでも存在感を放った。
 しかし、初めて臨んだW杯は悔しさを残して幕を閉じた。
 プレーしたのはコスタリカ代表とのグループステージ第2戦だけ。先発した左サイドハーフから左ウイングバック、右ウイングバックとポジションを変えた展開で決定的な仕事ができず、先制された直後の後半37分にMF南野拓実(28、モナコ)と交代した。
 0-1のまま敗れた試合後の取材エリア。守備を固めたコスタリカを最後まで攻めあぐねた試合展開を、相馬は「自分の力不足です」と唇をかみながら振り返った。
「引いた相手に対して後ろでボールを動かすだけじゃなくて、もっと中へ入っていくところでの主体性やアグレッシブさが、自分を含めてまだまだ足りなかった」
 大柄な外国人選手が嫌がると酒井に教えられた、重心の低いドリブルを思うように仕掛けられなかった。コメントに凝縮された悔しさは、JリーグやE-1選手権、カナダ戦でのプレーが評価され、オファーにつながったと見られるカザピアでの挑戦につながっていく。
 すでにポルトガル入りしている相馬は、20日深夜に自身のインスタグラム(@soma_47_official)を更新。笑顔で契約書にサインする写真とともに投稿したコメントで、名古屋のファン・サポーターへあらためて感謝しながら覚悟と決意を綴っている。
「サッカー選手としても人としてもさらに成長するためにチャレンジしてきます。皆様のもとに活躍したニュースが届くように、結果を求めて戦ってきます」
 今年6月末までの期限付き移籍だけに、好調なチームで居場所をもぎ取り、すぐにでも公式戦で結果を出す必要がある。インパクトを残せば来シーズンから完全移籍する可能性も開ける。ヨーロッパではさらに小さく映る体に旺盛な闘争心と勇気、無尽蔵のスタミナとスピード、そして“必殺技”を忍ばせたドリブルを搭載した相馬の挑戦が幕を開ける。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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