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侍ジャパンが壮行試合で中日に2-7で完敗。松井裕樹は1回を投げ切ることができず4失点と炎上(写真は資料:YUTAKA/アフロスポーツ)
侍ジャパンが壮行試合で中日に2-7で完敗。松井裕樹は1回を投げ切ることができず4失点と炎上(写真は資料:YUTAKA/アフロスポーツ)

本当に大丈夫?!投打に不安を露呈して中日に完敗の侍ジャパンで見えてきたWBC本番で「使える選手」と「使えない選手」

 WBCでの世界一奪回に挑む日本代表は3日、名古屋のバンテリンドームで中日と壮行試合を行い2-7で敗れた。2番手の巨人の戸郷翔征(22)が一発を含む3回4安打2失点、中継ぎでただ一人選ばれた左腕、楽天の松井裕樹(27)は制球が定まらずに2安打3四球4失点と大炎上。一方の打線も6安打2得点の低調で昨年のセ・リーグの最下位チームに完敗した。この日、エンゼルスの大谷翔平(28)とカージナルスのラーズ・ヌートバー(25)が合流。レッドソックスの吉田正尚(29)も来日し、本番に向けてメンバーは大きく様変わりするが、「使える選手」と「使えない選手」が明暗を分ける不安の残る1敗となった。

 ただ一人の中継ぎ左腕の松井が大炎上

 

 栗山監督が沈痛な表情で言葉を絞り出した。
「これだけの選手が集まってもうまくいかないこともある。それでもなんとか点を取られても勝ち切れる試合を作っていかねばならない。課題は課題として早めにわかることもある。こういう展開をどうすべきかをしっかりと考えてやっていきます」
 中日との壮行試合に2-7の完敗。タイブレークの想定実戦に入る前に、バンテリンドームのベンチ裏通路でフラッシュインタビューに応じた指揮官は、就任7試合目にしての初黒星に危機感をつのらせた。
 7失点の投手陣では「使える投手」と「使えない投手」が明暗を分けた。選ばれた17人は、実績も実力も申し分がないメンバー。つまり“大きい”“滑る”とされるローリングス社製のWBC公式球に対応できているか、できていないかの問題。先発した横浜DeNAの今永は、WBC本番では第2先発として起用となるが3回を1失点、5連続を含む7奪三振とゲームを作った。しかし2番手の同じく第2先発候補の巨人の戸郷が3イニング目の6回につかまった。二死走者無しからボールが指にかからない膝元のストレートを中日の新外国人アキーノに簡単に引っ張られ、低い弾道を描いた打球がレフトスタンドへ。1-1から勝ち越し点を許すと、さらに高橋周、木下に、いずれも低めを狙った150キロ前後のストレートを痛打されて連続二塁打。1点を追加された。
 大炎上したのは7回からマウンドに上がった3番手の松井だ。WBC公式球を操ることができずボールが抜ける。先頭の田中を歩かせると一死を取ったあと、代打アルモンテの打席で、サイン違いからか、スッポ抜けたストレートを途中出場のヤクルト中村が捕球することができずに後逸。スタートを切っていた田中に二進を許す。ボールが先行する中で、なんとか三振を取ったが、細川にレフト線へのタイムリー二塁打を浴びて、ビシエド、アキーノに連続四球。明らかにおかしかった。ここで千葉ロッテ監督の吉井投手コーチがマウンドに行くが、続く高橋周にセンター前タイムリーを打たれたところで栗山監督が交替を告げた。調整試合で異例の途中降板である。
 緊急登板となった広島の栗林も流れを止められず松井は4失点。ベンチで1学年上で親交のある大谷から何やらアドバイスを受けていたが、2月26日のソフトバンク戦でも、2四球を出すなど苦しんでいた松井は、滑るボールへの課題を修正することができなかった。
 栗山監督は、WBCルールではワンポイント起用が許されないため、中継ぎ左腕として松井一人しか選ばなかった。第2先発候補としてヤクルト高橋奎、オリックス宮城の2人の左腕を選んではいるが、松井の不調は計算外。 
 2013年のWBCで日本代表の戦略コーチを務めた橋上秀樹氏(現在BCリーグ新潟アルビレックス監督)は厳しい指摘をした。
「松井は、過去に代表に2度選ばれている(2015年プレミア12、2017年WBC)がいずれも公式球への対応にてこずっていた。この段階でまだ修正できていないようであれば本番で使うのは厳しいでしょう。先発の今永にしても抜けるボールがあったし、戸郷も公式球に対応できず上下のコントロールができていなかった。フォークも落ちていない。大勢は、サイドなので上下のぶれはなく159キロを出していたが内外の横のコントロールに関しては不安が残った。アキーノのバットを叩き折ったインハイのストレートも、そこを狙ったボールではなかった。今日の5投手で、公式球に対応できて、フォークを操れていたのは栗林だけでないか」

 

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