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W杯の決勝T1回戦で日本はクロアチアにPK戦で敗北。1番手の南野が止められるなど3人が失敗した(写真・ロイター/アフロ)
W杯の決勝T1回戦で日本はクロアチアにPK戦で敗北。1番手の南野が止められるなど3人が失敗した(写真・ロイター/アフロ)

なぜW杯の失敗を教訓に日本代表の国際親善試合にPK戦を導入する計画が立ち消えになりそうなのか?

導入が検討されていた日本代表の国際親善試合後のPK戦に関して、日本サッカー協会(JFA)の反町康治技術委員長(58)が2日、「基本的にないと思ってもらっていい」と“立ち消え”の可能性が高いことを明かした。PK戦の末にクロアチア代表に屈し、ベスト8進出を逃したW杯カタール大会を踏まえて、反町委員長は国際親善試合で勝敗に関係なくPK戦を実施し経験を積ませる強化策を示していたが、一転、計画が後退したのはなぜなのか。

 「その話はいっさい聞いていません」

 

 日本代表の強化につながる仰天プランが、幻と化す可能性が大きくなった。
 試合結果に関係なく、国際親善試合後にPK戦を実施する。経験値が圧倒的に不足していたPK戦の末にクロアチアに敗れた反省から、対戦国の了解を得たうえで導入していきたいと、昨年末の段階で前向きな姿勢を示していた反町技術委員長のトーンが大きく後退した。
 2日に行われた技術委員会後に臨んだメディアブリーフィング。ウルグアイ代表(24日、国立競技場)、コロンビア代表(28日、ヨドコウ桜スタジアム)の南米勢と対戦する、第2次森保ジャパンの船出となる3月シリーズにおけるPK戦の有無を問われた同委員長は「現段階では、その話はいっさい聞いていません」と明言。さらに次のように言及した。
「日本代表のその(3月の)活動に関しては、基本的にないと思ってもらっていい」
 JFAは2月に、技術委員の1人で、アテネ五輪代表監督や日本代表コーチ、ジュビロ磐田監督を歴任した山本昌邦氏(64)がナショナルチームダイレクターに就任する人事を発令した。もともとはロンドン五輪代表監督や川崎フロンターレ監督などを歴任した関塚隆氏(62)が務めていたが、2020年11月に退任した後は反町委員長が兼任してきた。
 現状では山本氏が主に森保ジャパンを担当。反町委員長は年代別日本代表の活動やマッチメークなどに重点を置きながら、山本氏をサポートする形が取られている。それだけに「これはどちらかと言うと山本さんの範疇になるんですけれども」と断りを入れたうえで、来たる3月シリーズでPK戦を導入しない理由について次のように言及した。
「(今日の技術委員会でも)その話はまったく出ませんでした。(テレビ)放映の時間帯の問題を含めていろいろありますし、最終的には(森保)監督の判断もあると思うので」
 3月シリーズの地上波テレビ中継に関しては、ウルグアイ戦がテレビ朝日系で、コロンビア戦が日本テレビ系での全国生放送がすでに決まっている。試合終了直後には森保一監督(54)と選手のフラッシュインタビューも中継されるだけに、実際にPK戦が行われた場合、インタビューが生放送の時間内に収まらなくなる状況に反町委員長は言及したのだろう。
 現場を預かる森保監督自身はどのように考えているのか。ヨーロッパ視察から帰国した2月中旬の段階で、指揮官は3月シリーズでのPK戦の導入に関して「まだ全然決めていない。これから検討していきたい」と語るにとどめていた。逆にメディアに対して「やった方がいいですか」と質問するなど、それほど前向きな姿勢を見せていなかった。

 

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