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イニエスタは神戸の退団会見であふれる涙をぬぐった
イニエスタは神戸の退団会見であふれる涙をぬぐった

「監督の優先順位が違う」なぜイニエスタは涙の神戸退団を決断したのか…背景に「バルサ化」の“真逆”に向かったチーム方針

 札幌戦を終えた後に関して、イニエスタは「まずは神戸での時間をまっとうして、そこからどのような扉が開かれるのかをみてみたい」と語った。スペインメディアの間では、資金力が豊富な中東やアメリカのクラブが興味を示していると報じられている。
 移籍が実現すれば、それが“置き土産”になる可能性もある。
 契約を残している場合は、移籍金が発生する。対照的に札幌戦をもって契約を解除すれば、移籍金がかからないフリートランスファーとなる。神戸の千布勇気社長は「契約の詳細はノーコメントとさせてください」と断りを入れながらこう語った。
「いろいろなことを総合しながら話をした結果、今回の形で決まりました」
 親会社の楽天の業績が芳しくない現状で、移籍金が発生する形になれば、夏の移籍市場で優勝に必要な新戦力を補強する場合には大きな後ろ盾になる。神戸を愛してやまないイニエスタが、契約を残したままの退団を希望していたケースも十分に考えられる。
 会見では引退後に「バルセロナに何らかの形で加わるのか」という質問も飛んだ。ラ・リーガ制覇を果たしたばかりの盟友、シャビ・エルナンデス監督体制が長く続いてほしい、と語るにとどめたイニエスタは、自身と神戸の長期的な関係にこう言及した。
「これは永遠の別れではない。この素晴らしい国、そしてクラブとの関係性はこれからも大事にしていきたい。イニエスタアカデミーなど、情熱をまだまだ注いでいきたいプロジェクトが残っている。違った角度で、最善の形で日本サッカー界に貢献していきたい」
 今後は状況を見ながら、定期的に来日する意向も表明した。7月1日までの残りわずかな時間は、イニエスタと神戸、そして日本との間で紡がれてきた物語のクライマックス。一度は離ればなれになるとしても、その先には“続編”がすでに用意されている。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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