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クロアチアの“レジェンド”モドリッチがレアル・マドリードと契約延長。サウジアラビアのアル・ヒラルからの総額約940億円のオファーを蹴っての決断だったの(写真:ロイター/アフロ)
クロアチアの“レジェンド”モドリッチがレアル・マドリードと契約延長。サウジアラビアのアル・ヒラルからの総額約940億円のオファーを蹴っての決断だったの(写真:ロイター/アフロ)

なぜモドリッチはサウジクラブからの940億円オファーを蹴ってレアル・マドリードとの契約延長を選んだのか…“オイルマネーサッカー”へのアンチテーゼ?!

 ラ・リーガ1部のレアル・マドリードは26日、クロアチア代表のMFルカ・モドリッチ(37)と2024年6月までの契約延長で合意に達したと発表した。6月末で契約が満了するモドリッチに対しては、サウジアラビアのアル・ヒラルが、総額6億ユーロ(約940億円)の巨額オファーを行っていた。なぜ昨年のカタールW杯で日本代表をPK敗退に追い込んだクロアチアの“レジェンド”は約940億円を蹴り、レアル・マドリードでの12シーズン目を迎える道を選んだのか。

 契約延長では約34億円からの減額必至

 

 一通のツイートが世界中のマドリディスタを喜ばせた。
 アル・ヒラル移籍か、それともレアル・マドリード残留か。ファン・サポーターから去就が注目されていたモドリッチが、日本時間26日19時すぎに自身のツイッター(@lukamodric10)を更新。ハッシュタグ「#Modric2024」とともに、こんな英文を投稿した。
「Home Sweet Home.」
 翻訳すれば「愛しい我が家」となるだろうか。レアル・マドリードの名前は記されていなくても、これだけでモドリッチの決断が十分に伝わってくる。わずか数時間で15万件に達しようとしていた「いいね」が、モドリッチのレアル・マドリード残留が喜ばれた証だ。
 モドリッチは2003年にプロデビューしたディナモ・ザグレブからトッテナム・ホットスパーを経て、2012年夏にレアル・マドリードへ加入。2017-18シーズンからは背番号10を託され、在籍11シーズンで公式戦に通算488試合出場。5度のUEFAチャンピオンズリーグ制覇や3度のラ・リーガ1部優勝など、合計で23ものタイトル獲得に貢献してきた。
 昨シーズンもレアル・マドリードで52試合、クロアチア代表では13試合と、37歳にして合計65試合に出場した。特に3位に入ったカタールW杯では決勝トーナメント1回戦で森保ジャパンの前に立ちはだかり、PK戦の末にベスト8進出を阻んだ相手の「10番」を背負う大黒柱として記憶しているファンも多いだろう。所属クラブと代表の両方で絶対的な存在感を放ったモドリッチはしかし、今年に入ってからはその去就が取り沙汰されるようになった。
 レアル・マドリードとの契約が6月末で満了するモドリッチに対して、サウジアラビアのアル・ヒラルが年俸2億ユーロ(約313億円)の3年契約、総額6億ユーロ(約940億円)もの巨額オファーを提示。アル・イテハド入りしたFWカリム・ベンゼマ(35)に続いて、レアル・マドリードの主力がサウジアラビアに行くのか、と思われたからだ。
 しかし、モドリッチが下した決断は、レアル・マドリード残留だった。
 昨シーズンのモドリッチの年俸は2188万ユーロ(約34億円)とされる。レアル・マドリードに関する情報を専門的に発信するスペインメディアの『Defensa Central』は「契約を延長した場合、減俸は避けられない」と指摘。そのうえでこう続けている。
「出場時間の減少を含めて、クロアチアの魔術師がチームのなかで果たす役割も昨シーズンと異なるものになるだろう。一般論として、9月で38歳になる選手は時間の経過とともにレベルも落ちるのが普通だからだ。それでもモドリッチの最優先事項は常にレアル・マドリードにあり、そのためにサウジアラビアのクラブが提示した大型契約を拒否した」
 スペインのスポーツ紙『MARCA』によれば、モドリッチは数カ月前にアル・ヒラルからオファーが届いた件をクラブに報告。レアル・マドリード側は「モドリッチのキャリアにとって、最良と思われる決断ならば何でも受け入れると本人に伝えた」という。
 たとえば昨年末に、日本円にして約280億円もの年俸でサウジアラビアのアル・ナスル入りし、世界中を驚かせたポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(38)のように、年俸を含めた条件を優先させるのもまったくかまわない。すべてがモドリッチ本人の意思に委ねられたなかで、下された結論は契約を1年延長してのレアル・マドリード残留だった。
 その理由を『MARCA』は、オイルマネーをバックにビッグネームを集めようとしている、サウジアラビアサッカー界へのアンチテーゼも含まれると伝えている。

 

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