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18年ぶりの優勝へのカウントダウンが始まった阪神の岡田監督の何がどう変わったのか(写真・黒田史夫)
18年ぶりの優勝へのカウントダウンが始まった阪神の岡田監督の何がどう変わったのか(写真・黒田史夫)

なぜ阪神はGT戦の3タテに成功し7連勝したのか…冴えわたる岡田采配と近本が「凄くいいチームだ」と明かす一体感

 7回を1失点に踏ん張っていた先発の才木に8回も託した。
 防御率0点台の守護神の岩崎が不在だった。
 6連勝を飾った前日のゲームの勝利儀式が終わると、岡田監督は、すぐに平田ヘッドを呼び、連投させた守護神の岩崎を3戦目はベンチから外し、試合前練習にも参加させず先に帰阪させることを伝達するように指示した。だからこそ才木には1回でも長く投げてもらわねばならなかった。
「球数とかで、8回を乗り切ってくれたらなと思っていた」
 だが、先頭の坂本に一発を浴びて、1点差となり、さらにブリンソンに内野安打を許し、一死から大城にうまく流し打たれて、一、三塁となったところで指揮官はベンチから腰を浮かす。
「『追い越されるまでは、お前に任す』と投手コーチに言いに行かせたんだけど、もうちょっとしんどかった。あまり負担がかからないように一人一殺でいった。相手もジグザグやったからな」
 マウンドに加治屋を送り「同点OK」で内野手は下げた。ミスで力んでいる中田にファウルでカウントを稼ぎ、カウント2-2から最後はウィニングショットのフォークではなく132キロの大きなカーブ。裏をかかれた中田は完全にタイミングを外され、片手になり膝をつき空振り三振した。そして7番に打順の下がっていた左の秋広のところで岡田監督は、左腕の島本を送る。原監督も動き、代打の岸田。代打での打率.333を残し、6月30日の阪神戦では加治屋からサヨナラ本塁打を打っている。
 だが、岡田監督が「走者がいたら島本」と絶対の信頼を置く島本は岸田を三塁ゴロに仕留めた。佐藤の送球はホーム側に逸れたが大山が体を伸ばしてキャッチした。
 そして阪神は9回に貴重な追加点をあげた。
 巨人の4人目鈴木から一死後、木浪が四球を選ぶ。岡田監督は先に代打の糸原を告げて巨人ベンチの動きを見た。さらに近本、中野と左が続く打順に左をぶつけてくることは想定していた。原監督がマウンドに向かい、高梨に交代すると、迷わず代打の代打の原口を打席に送った。今季の代打での打率は.171。横浜DeNAとの開幕カードで、岡田監督に他選手の打席の途中で代打を告げられるという異例の采配に応えて本塁打を放ったのを最後にアーチはない。決して“代打の神様”ではないが、岡田監督は我慢強く、その一打に賭けた。
 近本への死球を忘れていない阪神ファンからのブーイングが飛び交う中、高梨が投じた初球のスライダーを原口がすくいあげた。捕手の岸田はインコースに構えていたが、コースは真ん中へ甘く入ってきた。打球はレフトスタンドの下段に消えていった。岡田監督はベンチで白い歯を見せて万歳していた。9回はケラーに任せることを決めていたが、岩崎でなければリードが1点では心もとない。その意味で原口の2号2ランは、ケラーを楽にさせる価値ある一発になった。代役守護神のケラーは先頭の長野にヒットを許しながらも無失点に切り抜けてセーブを記録した。

 

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