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“昨年ゼロ勝コンビ”の大竹耕太郎と村上頌樹のブレイクが18年ぶりVの原動力となった(資料写真・黒田史夫)
“昨年ゼロ勝コンビ”の大竹耕太郎と村上頌樹のブレイクが18年ぶりVの原動力となった(資料写真・黒田史夫)

【緊急連載2】なぜ阪神に村上&大竹のニューヒーローが誕生したのか…その背景とブレイクを予告していた「岡田の表」とは?

 阪神が18年ぶりの優勝を達成し、岡田彰布監督(65)が、6度宙に舞った。たった1年で岡田監督は、どうチームを変えたのか。緊急連載の第2弾は、昨年ゼロ勝から今季揃って2桁勝利したニューヒーローの村上頌樹(25)、大竹耕太郎(28)の誕生秘話に迫る。

沖縄キャンプのホテルの自室に貼られていた投手陣の投げ込み表

 

 爆笑、そして感動…。歓喜の胴上げの後に行われた岡田監督の優勝インタビュー。4万人を超える阪神ファンの誰一人席を立つ人はいなかった。下準備も何もなしのぶっつけ本番の岡田監督の優勝インタビューは、人間味とユーモアにあふれ、実に監督らしかった。
 その中で岡田監督は、村上、大竹の名前を出した。
「若い村上、大竹と本当によくがんばった。10勝ですから」
 ほぼペナントレースを独走することになった圧勝劇の立役者は、たくさんいるが、突如、現れたこの2人が、その代表になるだろう。
 実は、この2人のブレイクを岡田監督は2月の沖縄キャンプで予告していた。
 その根拠となっていたのが、恩納村のホテルの自室の壁に貼られた一枚の大きな表である。就任以来、岡田監督を支えてきた専属広報の藤原通が、印刷のできる「キンコーズ」に走って、大型ポスターなみに拡大コピーしてきたのが、全投手の名前と、キャンプの初日から最後までがカレンダーのようになった表。1日、1日、ブルペンでの投げ込み数を書き入れるようになっている。キャンプの1日が終わると、安藤、久保田の両コーチが、その日の投げ込み数を報告して、藤原がそれを書き入れる。誰がいつ何球投げたか、いつ投げなかったのかが一目瞭然である。
 オリックスの監督時代も、宮古島キャンプ中のホテルの自室には、巨大なホワイトボードがあり、すべて手書きで投げ込み数が書かれていた。それが投手陣の調整具合とシーズンの活躍の見込みを計るバロメーターだった。
 岡田監督は投げ込み推進派だ。
「今はトレーニングが進化していて、球速を増やすためのカリキュラムみたいなものがあるらしいな。それは知っているけど、当時のオリックスは、メジャー式の投げ込まないことがチームに浸透してしまっていて、その影響が出た。ケガ人やシーズン後半の失速。そもそもコントールがつかなかった。やっぱりキャンプでのある程度の投げ込みは必要やと思う。1年を戦い抜く基礎体力を作るというのもあるけど、ほんまのコントロールは投げこまないとつかない」
 安藤、久保田投手コーチも同じく投げ込みは必要だと考えており、岡田監督の考え方と一致していた。
 その表に、休みなく、連日、数字が書き込まれていたのが、村上、大竹、加治屋の3人だった。岡田監督は、その表を見て、こう話をした。
「この3人が出てくるでえ」
 逆に空白の日が多かったのが外国人投手。
 沖縄キャンプ途中に岡田監督が「外国人投手が全然ブルペンに入っていない」と嘆いたことを熱心な阪神ファンの方なら覚えているだろう。実際、新外国人のケラーは何もしないまま、途中で退団した。
 岡田監督は、キャンプでは、できるだけブルペンに足を運ぶようにしていた。
「ブルペンでのボールを見たら、勝てるか、勝てないか、はわかるよな」
 現役時代に、何千、何万というボールを打席で見てきた“打者・岡田”の見極める力だ。その岡田監督が、連日投げ込んでいた村上、大竹、加治屋の姿にプラスしてそのボールの質を見て「いける」との予感がしていたのである。
 大竹は現役ドラフトでソフトバンクから獲得した投手だった。
 岡田監督の早大の後輩。2017年にソフトバンクに育成ドラフト4位で入団した。早大から育成ドラフトで入団するのは異例の出来事だが、本人が強く希望した。
「ウチ(早大)から育成は珍しいよ。大竹は気持ちがちゃうわな」
 岡田監督は、阪神編成部の調査に加え、独自の人脈、情報網を使い、大竹は実力はあるものの、チャンスがもらえずに燻っているとの情報をつかんでいた。

 

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