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なでしこのパリ五輪予選の北朝鮮開催が白紙に(写真・ロイター/アフロ)
なでしこのパリ五輪予選の北朝鮮開催が白紙に(写真・ロイター/アフロ)

なぜパリ五輪予選第1戦の北朝鮮での開催が“白紙”に戻ったのか…困惑するなでしこジャパン

「現段階ではオリジナル(平壌開催)で、という形で話が進んでいると思う。これはJFAではなく、最終的にはAFCやFIFAが決めること。女子の件はまだ詳しく聞いていませんし、コメントはできないけれども、われわれとしては関係部署としっかりコミュニケーションを取りながら、どんな状況になってもしっかりとやっていくだけです」
 パリ五輪出場をかけた女子サッカーのアジア最終予選は、日本-北朝鮮、オーストラリア-ウズベキスタンがそれぞれホーム&アウェイで対戦。2戦合計スコアの勝者が2枚の五輪切符を獲得し、同点の場合は第2戦会場で延長戦、さらにPK戦が行われる。
 昨秋に行われた女子のアジア2次予選。最終予選で難敵オーストラリアとの対戦を避けるために、池田監督はウズベキスタン戦で2点のリードを奪った後の約75分間をシュートなしのボール回しだけで終えさせ、勝利しながら賛否両論を巻き起こした。
 複雑なレギュレーションのもと、昨夏の女子W杯でベスト4に入ったオーストラリアと最終予選で対戦すれば、第2戦が敵地・南半球での開催だった。ホームでファンに祝福されながら、2大会連続6度目の五輪出場を決める光景を何よりも優先させて、日本人ファンや2次予選で敗退した中国や韓国から非難されるのを覚悟の上でボール回し戦法を選んだ。
 JFAもそれに応える形で、第2戦の会場を国立競技場に決めた。現状で前売りチケットが1万枚ほど売れているなかで、佐々木委員長はこんな要望も出している。
「ただ、アウェイのゴール裏がかなり埋まっている、という情報が届いています。ホームの雰囲気を勝ち得るためにも、パリ五輪出場へ向けて、ぜひとも多くのファン・サポーターになでしこジャパンを後押ししていただければと強く願う次第です」
 思い出されるのは2004年4月24日。アテネ五輪出場をかけたアジア予選の準決勝で、日本女子代表はそれまで13年間にわたって勝てていなかった北朝鮮と旧国立競技場で激突。2大会ぶりの五輪出場を3-0の快勝とともに勝ち取った伝説の一戦を、当時の女子サッカー界では異例となる3万1324人の大観衆が記憶に焼きつけた。
 直後に公募でなでしこジャパンの愛称がつけられ、2011年の女子W杯制覇へつながった軌跡を同じ北朝鮮を相手に再び紡ぎたい。女子サッカーにかける思いを胸中に秘めながら、第1戦がどのような状況で行われようとも、それを乗り越える準備を進めていく。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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