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森保監督がカナダ戦の前日会見で久保発言について言及したが…
森保監督がカナダ戦の前日会見で久保発言について言及したが…

かみ合わない議論…森保監督は久保建英が吐露した海外組の「きつさ」をねぎらったが過酷日程問題への対策は語らず

  日本代表の森保一監督(55)が12日、カナダ代表との国際親善試合(13日、新潟・デンカビッグスワンスタジアム)の前日公式会見に臨み、過密日程と長距離移動に「きつい」と本音を吐露していたMF久保建英(22、レアル・ソシエダ)を「過酷な条件のなかで、志と覚悟を持って毎回招集に応じてくれている」とねぎらったが、対策についてのコメントはしなかった。指揮官は来月16日のW杯アジア2次予選の初戦(対戦相手未定、パナソニックスタジアム吹田)が木曜日開催となる日程に「練習する時間もほとんどない」と、さらに過酷になると明かしたのだが…。

 「久保の発言がメディアで取り上げられていますが…」

 

 どうにも議論がかみ合わない。
 カナダ戦の舞台となる、デンカビッグスワンスタジアム内で行われた森保監督の前日会見。質疑応答のなかで、11日の練習後に久保が明かした疲労への受け止め方が問われた。UEFAチャンピオンズリーグを並行して戦っている久保は、ソシエダの過密日程に日本への長距離移動が加わった今回の招集に「きついですよ、正直」と本音を吐露していた。
 森保監督が「基本は4-1-4-1になる」と明言したカナダ戦のシステムで、久保はインサイドハーフでの先発が予想される。周囲とのコンビネーションをさらに深めるためには、長めのプレー時間が求められる。その場合、久保のコンディションをどのような形で考慮するのか。現時点での考え方を問われた指揮官はねぎらいの言葉を返している。
「昨日の久保の発言がメディアで取り上げられていますが、日本代表の選手たちが日本国内で戦うときは海外組、特にヨーロッパの国際大会に出ている選手たちは連戦を終えて長距離移動し、時差があり、気候も異なる過酷な条件のなかで疲弊しながら、それでも代表チームのために志と覚悟を持って毎回招集に応じてくれている」
 久保を含めたヨーロッパ組を悩ませる、過密日程と長距離移動に起因する問題を解消するための対策は、まったく示されなかった。森保監督はそれどころか「ある選手が以前、ロシアW杯後からカタールW杯まで、日本代表として活動した際に地球8周分の移動をしたと語っている」と続け、打開策を精神論に求めている。
「それをメディアのみなさんにも理解していただいて、より多くの方々に伝えていただければ。選手たちがどれだけの志と覚悟を持って日本のため戦っているのか、ということを理解していただいた上で試合を、選手たちの頑張りを見ていただければと思っている」
 これは森保ジャパンの前キャプテン、DF吉田麻也(35、LAギャラクシー)が昨年6月の国際プロサッカー選手会主催のオンライン会見で明かした実情を指す。
 吉田はプレミアリーグのサウサンプトン、そしてセリエAのサンプドリアでプレーしていた2018年10月以降の約4年間で、代表に招集された際の合計としてほぼ地球8周分にあたる約31万8000kmもの移動を経験したという。
 その上で「このままだと、いつ体が壊れてもおかしくない」と、特にアジアの選手が直面する厳しい現状を訴えていた。
 もっとも、吉田はヨーロッパの国際大会を経験していない。対照的に今回の代表選手たちは、久保以外にもDF冨安健洋(24、アーセナル)やFW上田綺世(25、フェイエノールト)、FW古橋亨梧(28、セルティック)、体調不良で招集されなかったMF鎌田大地(27、ラツィオ)、怪我で辞退したFW前田大然(25、セルティック)が最高峰の舞台となるチャンピオンズリーグに臨んでいる。

 

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