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阪神の岡田監督が今季1勝。森下の3ランで勝負が決まった(写真・黒田史夫)
阪神の岡田監督が今季1勝。森下の3ランで勝負が決まった(写真・黒田史夫)

「阿部はおもろないんよ」…阪神が阿部巨人に一矢を報いた理由…岡田監督が1勝2敗のGT戦に感じた手応えと課題とは?

 岡田監督は8回ゲラ、9回岩崎の新勝利方程式を繰り出した。ゲラは初登板の緊張もあって変化球が外角へ引っかかって制御できずヒットを2本打たれたが、無得点に抑え、昨季のセーブ王の岩崎は、萩原、浅野、門脇という巨人の若手に格の差を見せつけて、貫禄の三者凡退だった。
「開幕(カード)で3連敗と1勝2敗じゃねえ。1勝2敗じゃ1つしか負け越しがないので今日の勝ちは本当に大きかったと思う」
 岡田監督が本音を漏らした。 

 3月10日の巨人とのオープン戦。阪神は4-5で敗れているが、阿部監督は7回から投入した菊池がつかまり一死一、二塁とされて大山を迎えると京本にスイッチ。8回には、3-5となり、その京本が一死二、三塁のピンチを作ると今度は松井へ継投。まるで本番さながらの小刻みな継投策で勝利に徹してきた。岡田監督は阿部監督の開幕カードへの過剰なまでの意識を見透かした。
 青柳の開幕投手の指名には、様々な狙いがあった。青柳のモチベーションを高めるのは、もちろんだが、巨人の阿部監督への心理戦があった。
 青柳には左打者を並べるのが定石である。
「どんな打線を組んでくるかやな。それと2日目、3日目にどう打線を変えてくるか。あっちにあれこれ考えさせたら、それだけで開幕3連戦の意味があるんよ」
 岡田監督は阿部監督が開幕3試合で動かざるを得ない状況を作ったのである。
 実際、阿部監督は、9人中、6人の左打者を並べ対青柳に通算打率で5割を超える梶谷を3番・ライトで起用した。青柳は5回にボークなどを取られて3失点。踏ん張りきれなかったが、ゲームを壊したわけではない。
 想定外だったのは、翌30日の第2戦も、左腕の大竹に対して巨人が同じ打線で来たことだった。そして巨人に連勝を許した。だが、この日、阿部監督は、右腕の才木に対して、3番を長野に変えたのである。長野は昨季才木に対して8打数4安打、打率.500と相性が良かった。おそらく、その相性と故障を抱える梶谷をシーズンを通じて戦力とするためコンディションに配慮し休ませながら使うことを考えたのだろう。だが、岡田監督にとって阿部監督に何かを考えさせたことが収穫だった。
 才木は、その長野にヒットを打たせず、3回、4回と二度も満塁のピンチを背負いながらも無失点でしのいだ。球数が増え、6回は明らかに限界に近づいていたが、二死一、三塁で代打梶谷が出てきても岡田監督は左腕にスイッチしなかった。
「開幕カードで0点に抑える投手を代えれんよ」
 才木は梶谷に痛打されたが、大山が、絶妙のハンドリングの逆シングルで、難しいバウンドの打球をキャッチして右腕を援護した。開幕の2試合は巨人にお株を奪われた守りから勝つのが岡田野球である。

 

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