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阪神の岡田監督が今季1勝。森下の3ランで勝負が決まった(写真・黒田史夫)
阪神の岡田監督が今季1勝。森下の3ランで勝負が決まった(写真・黒田史夫)

「阿部はおもろないんよ」…阪神が阿部巨人に一矢を報いた理由…岡田監督が1勝2敗のGT戦に感じた手応えと課題とは?

 プロ野球の開幕第3戦が3月31日、東京ドームで行われ、阪神が巨人に5-0で快勝し今季初勝利を手にした。才木浩人(25)が走者を出しながらも6回を無失点に抑え、0-0で迎えた8回二死一、三塁から森下翔太(23)が左中間に決勝3ランを叩き込んだ。新外国人のハビー・ゲラ(28)と〝守護神〟岩崎優(32)の新勝利方程式で反撃を断ち、岡田彰布監督(66)の想定内の1勝2敗で開幕カードを終えた。

 森下が0-0で迎えた8回に値千金の1号3ラン

 

 ベンチで岡田監督が雄叫びをあげてバンザイした。
 0-0で迎えた8回二死一、三塁から森下が中川の外角高めに投じた145キロのシュートを豪快に引っ張った。打球は左中間スタンドの最前列に飛び込んだ。
「チームとしては点を取れてなかったですけど、すごくピッチャーが粘ってくれていたので、何とか野手陣で点を取ってやろうと強い思いで打席に立ちました」
 このイニングもゼロに終われば不名誉な開幕25イニング無得点のプロ野球記録を更新するところだった。
 岡田監督も「この3連戦で一番いいところで打った」と手放しだった。
 森下は沖縄キャンプでは問題児だった。いきなりピートローズ型のバットを持参。岡田監督は、「今年は本塁打を狙うと言っていて、あれは安打型のバットやん。あれでは打てんのとちゃうか」と、水口打撃コーチにぼやいたが、あえてノータッチ方針を貫いた。
「これやと思ったことを地道にやって最終的に結果が出たら、自分のものになるけどな。結果が出ないから変えようとかを繰り返すと、バッティングは自分のものにならない」
 岡田監督がプロ生活の中で学んだ極意。森下をあえて大きく育てようと放任した。それは日本シリーズの第5戦の逆転三塁打に象徴されるように「何かを持っている」森下の能力を信頼しての方針だった。
 その森下が絶対に3連敗だけは避けたい重要な一戦で結果を出した。
 演出したのは、連敗の中では動くに動けなかった岡田采配である。阿部監督が「8回の男」中川をマウンドに送ると代打攻勢を仕掛けた。木浪の代打原口は凡退したが、2人目の代打小野寺がフルカウントまで粘り、高めに浮いたストレートを得意の右打ちでライト前へもっていく。岡田監督は代走に小幡をコール。足でプレッシャーをかけて近本も逆方向へ弾き返して無死一、二塁とチャンスを広げた。
 続く中野は二塁ゴロに倒れたが、打球が詰まっていたことが幸いし、併殺崩れで一塁に生き残り、森下の劇的アーチにつなげたのである。
 岡田監督は、連覇への条件を「新戦力と控えの層の底上げ」としていた。昨季も43試合に出場、打率.347の成績を残していた小野寺が、いきなり成長した姿を見せた。代走から守備に入った小幡は、9回に一度は「手すりに跳ね返った」と判断され審判団に二塁打とされた打球が、岡田監督のリクエストにより今季1号へと変更となった。彼もまたキャンプで木浪との距離を少し縮めた“底上げ組”。開幕第3戦目の勝利には、連覇へ向けて、積み上げたモノが凝縮されていた。

 

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