
なぜ川崎フロンターレはクリスティアーノ・ロナウドを封じ込めて初のACLE決勝進出を果たすことに成功したのか?
川崎U-18から昇格して3年目。昨シーズンはJ3の福島ユナイテッドへ期限付き移籍し、J3のベストイレブンに選出された大関が言う。
「本当に苦しい試合でしたけど、難しいゲームになるのもわかっていましたし、その意味ではプラン通りに進められたと思っています」
プランのなかには選手交代も含まれる。後半開始とともに大関に代えてキャプテンの脇坂泰斗(29)を、神田に代えてFWエリソン(26)を投入。後半19分にはマルシーニョに代わって38歳のベテラン、FW家長昭博が投入された。
同31分の貴重な追加点は、交代選手たちにもたらされた。
左サイドでパスを受けたエリソンが、ボールをキープすると見せかけてゴールライン際を真横へ突破。相手キーパーの眼前でマイナス方向へパスを送り、右サイドから以心伝心で回り込んできた家長が左足ボレーでネットを揺らした。
その後に1点を返されるも、逃げ切った長谷部監督が声を弾ませた。
「始まる前から難しく、始まっても難しい試合でした。そのなかで先制できて、リードも奪えて、追加点も取れて、最後は失点して危ない流れになりましたけど、選手たちがそれをわかっていながらゲームをうまくクローズできた。選手全員の、特に若い選手とベテランの選手の融合が素晴らしかった」
一発のあるロナウドを封じ込めたのが高井だった。
前半34分にはクロスバーを直撃するヘディングシュートを放たれた。ロナウドを先に跳ばせてしまい、制空権を握られてしまった反省からか。その後の攻防では必ず先に宙を舞い、身長192cm体重90kgの巨躯をロナウドにぶつけて自由を奪い続けた。
試合後のロナウドは仏頂面を浮かべ、目には悔し涙をにじませていた。高井自身も最後のファウルが許せなかったからか。気持ちを奮い立たせるようにこう続けた。
「今日のプレーにそこまで満足はいっていないので、決勝ではチームを救うようなプレーができればと。ここまで来たからには本当に気持ちだけと思うし、あと1cm、あと1mという戦いになると思うので、全力尽くしたい」
森保ジャパンへの招集歴があり、今シーズンに独ブンデスリーガ2部のマクデブルクから加入。準決勝のMVPを獲得した伊藤も決意を新たにした。
「すごくタフなゲームでしたけど、チームの全員が一丸となって、サポーターも含めて戦い切れた。あとひとつ勝って、日本のチームの強さを世界に示したい」
3日(日本時間4日)の決勝でアル・アハリ対戦する。元ブラジル代表FWロベルト・フィルミーノ(33)やアルジェリア代表FWリヤド・マフレズ(34)、コートジボワール代表MFフランク・ケシエ(28)らを擁する強豪だ。
しかも中2日の川崎に対して、アル・アハリは中3日。試合会場のキング・アブドゥラー・スポーツシティ・スタジアムは、アル・アハリの本拠地でもある。アウェイの厳しい洗礼を浴びるのは必至の状況で、今シーズンから指揮を執る長谷部監督のもと、現地へ駆けつけているサポーターも含めて一丸となった戦いで悲願の頂点を目指す。