
なぜ起きた?「原因がわからない」重岡銀次朗が世界戦後に緊急開頭手術で引退へ…意識不明で集中治療室にいる予断を許さない状況にSNSでは「回復を祈る」の激励の声が殺到
医務室でも意識は戻らなかったが、当初は、瞳孔が開くなど緊急措置を要する状況までには陥っておらず、安河内氏は「一瞬脱水症状なのか、血腫なのか」と疑ったという。
JBCは試合前から会場のインテックス大阪に救急車両を待機させていた。だが、重岡の前のヘビー級の試合で但馬ミツロが試合後に異常を訴えて病院に搬送されており、救急車両が出払った状況だった。すぐさま別の救急車両が手配され大阪市内の病院に運ばれた。最初の病院でCT検査を行い、急性硬膜下血腫が確認されたため、緊急手術に対応できる近くの別の病院に転送されて開頭手術を行った。
急性硬膜下血腫とは、頭部への外部からの衝撃が原因で脳や脊髄を覆っている硬膜と脳の間に出血が起こり、血液がたまる(血腫)状況によって脳が圧迫されるもの。一般的には、その血腫を除去し出血を止める手術が行われるが、今回重岡がどんな手術を受けたかの詳細は明らかになっていない。
開頭手術は2度行われた模様で、2度目の手術は朝方までの長時間に及んだが、手の施しようのないほど、重篤の場合は、長時間手術とはならないためまだ意識は戻っていないが、回復の可能性が持てるという。
ただJBCの規定では、硬膜下血腫を起こしたボクサーについては山中竜也(真正)のように検査をクリアした場合の復帰例はあるが、健康管理上、開頭手術をした選手の復帰は認めていない。重岡は事実上引退を余儀なくされることになった。
では、いつどこで異常が発生したのか。
安河内氏も「これからいろんな原因を究明していかなければならないが、難しさに直面している」と困惑している。
「大阪と東京のコミッションドクターが映像を見直しているが、前回負けた時はダメージがあったが、今回は、際だったダメージがないというのが大方の意見。穴口選手の時みたいな、猛烈な打撃戦というのではないので原因がわかりにくい。銀次朗選手はうまく戦い、大きいパンチをもらっていなかった。これと特定できるものはなかった」
悲しい出来事となった昨年2月の穴口一輝氏の場合は、ダウンの応酬がある激しい打撃戦で、試合中のダメージが顕著だったが、重岡は、ぐらつくような強烈な一発も浴びていないし、被弾の蓄積も見られなかった。