
なぜトッテナムは20歳の日本代表DF高井幸大を歴代最高額となる約9億9600万円の移籍金で獲得したのか…「クリロナを封じ込めたプレーを評価」
「得点チャンスを逃し続けたロナウドは、明らかにショックを受けていた。そしてアジアで最も権威のある大会で高井が演じた活躍は、スパーズのテクニカルディレクター、ヨハン・ランゲとスタッフの注目を集めるのに十分だった。現時点でスパーズにはセンターバックが豊富で、クロアチア代表に名を連ねる期待の18歳、ルカ・ヴスコヴィッチも今夏に加入した。それでも高井がプレシーズンから競争に加わるのは、9月に21歳になる若さで豊富な経験を積んでいる彼のキャリアと決して無関係ではない」
背番号に関しては発表されなかった。しかし、同メディアは川崎で昨シーズンから背負う「2番」を「高井が望めば、背負える状況にある」と伝えている。
「アイルランド出身のマット・ドハーティが2年前に去って以来、スパーズの『2番』は空いたままになっている。そして、この背番号は高井が好むものだとされている。スパーズのサポーターの大半は、当然ながら高井という名前を聞いたことがない。しかし、現時点では彼が他クラブで武者修行を積まずに、プレシーズンのキャンプからトップチームの一員になる見込みとなっている。そして近いうちに、日本からやってきた若者が、とてつもないお買い得だったと理解するだろう」
神奈川県横浜市出身の高井は、小学生年代から川崎の育成組織に所属。2022年にクラブ史上で最年少となる17歳でプロ契約を結んだ。愛着深い川崎も同日に高井のトッテナム移籍を発表。高井はクラブ公式HPで感謝の言葉を綴っている。
「川崎フロンターレではサッカー選手としてだけではなく、人としても成長させてもらいました。ACLE決勝でのあの景色は忘れることはないですが、サウジアラビアで経験した以上のものを見るために今回決断しました。そして、これからは自分の夢を叶えるために頑張ってきます」
高井はパリ五輪後に森保ジャパンへ初めて招集され、昨年9月5日の中国代表との北中米W杯アジア最終予選第1節の後半26分から途中出場。A代表デビューを果たしたときの心境を、前出のトッテナムのインタビューでこう明かした。
「ピッチに立って僕の夢がかなったときに、鳥肌が立ったのを覚えています」
かつては取得が困難だった英国の労働許可証は、2023年6月に条件が緩和され、昨年7月にはその時点で日本代表経験がなかったFW大橋祐紀(28)が、サンフレッチェ広島から2部のブラックバーンへ移籍した。高井の場合も問題ないとされる。
今後はデンマーク出身のトーマス・フランク新監督(51)のもと、ハイレベルな競争が繰り広げられていく。8月16日のバーンリーとのプレミアリーグ開幕戦へ向けて、別の次元での鳥肌が何度も立つ瞬間が高井を待っているはずだ。