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阪神が緊急補強したハートウィグ。シンカーとスイーパーを武器に奪三振率の高い変則の中継ぎ右腕だ(写真・アフロ)
阪神が緊急補強したハートウィグ。シンカーとスイーパーを武器に奪三振率の高い変則の中継ぎ右腕だ(写真・アフロ)

阪神の救援防御率1点台なのになぜ?“セ界”独走の虎が中継ぎ右腕ハートウィグを緊急補強した狙いとは…医学部進学の学位を持つ最速156キロで奪三振率の高い異色“変則シンカー投手”

 ではハートウィグは2年ぶりVへの使者となれるのか。
 ハートウィグは、ややサイド気味に腕が遅れて出てくる変則右腕。特に右打者は慣れないうちはタイミングをとるのに戸惑うだろう。
 2年前に野球統計サイト「ファングラフス」でデビッド・ローリラ記者がインタビューした記事によると、ハートウィグは自らを「私はeast-west guy(横にボールを動かすピッチャー)で低いスロットから投げて少し独特な投球をする。主にシンカーとスライダーを使っている」と説明している。
 2024年のデータを見ると投球の実に50%を占めるのがシンカーで最速156キロのフォーシームはほとんど投げない。ただシンカーの平均球速は152キロで前出の記事でハートウィグ自身が「通常のシンカー投手に見られるような深い動きはない。縦の動きは少なく、平均して8~9インチ(約20センチから約23センチ)くらいだが、リリースの高さと角度によってシンカーとして機能し、数字だけでは分からない違った動きをしている」という。
 そこに最大24インチ(61センチ)動くもうひとつのウイニングショットであるスイーパー、チェンジアップ、カットボールをミックスさせ、三振を奪える。今季の奪三振率は12.55もある。三振が奪える点は頼もしい。四球率はメジャー通算で4.07でコントロールはいいとは言えないが、今季はマイナーで3.80まで改善されている。
 加えてその経歴が異色だ。前出の「ファングラフス」によると2021年にドラフト外のフリーエージェントとして契約したハートウィグは、母が医師で、その影響を受けてマイアミ大学で微生物学と医学部進学予備課程の学位を取得し、デトロイト地域の心臓血管クリニックで医療助手として働いた経験がある。
 当時のインタビューでは「整形外科医になりたかったし、野球に関わりたかった。トミー・ジョン手術、関節手術の手術をしたかった。選手のキャリアを救い、怪我から復帰できるようにしたかった。それが私の道になるはずだったが、今の道は野球だ」とコメントしている。そのクレバーさがあれば、途中加入でも日本の野球へ敏速に適応できるのかもしれない。
 現在貯金は19で2位の巨人とは9.5ゲーム差をつけている阪神。ハートウィグの加入は、この先に訪れるかもしれないチーム不振を回避するためのリスクヘッジ。2年ぶりの優勝へ向けての盤石の布陣だ。

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