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黒田監督が率いる町田が8連勝で暫定首位に浮上(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)
黒田監督が率いる町田が8連勝で暫定首位に浮上(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

なぜFC町田は破竹8連勝で10位から暫定首位へ浮上できたのか?「落とした試合が数多くあっても自分たちに疑いを持たない」

 完成度を高めつつある3バックと、オフの積極的な補強で厚みを増した選手層、そして昨シーズンに悔しさを介して払った授業料。これらが理想的な形で融合し、町田の快進撃の火付け役になった一方で変わっていないものもある。
 その象徴が決勝点をもぎ取った場面となる。左サイドから昌子が供給したクロスに、藤尾に代わって途中出場していたオ・セフンがヘディング弾を見舞った直後。正面を突いたシュートをガンバの守護神・一森純(34)がまさかのファンブルを犯し、万が一の可能性を信じて詰めてきた左ウイングバックの林がこぼれ球を押し込んだ。
 絶え間なく上下動していた林の総走行距離は、両チームで最多の12.485kmに到達。それでもチームの決まり事でもある「労を惜しまない」を実践し、本来ならばいるはずのないゴール正面のポジションに詰めていった林は試合後に謙遜した。
「後半はすごく流れが悪かったんですけど、常にゴールを狙っていればボールがこぼれてくるかもしれない、と。(オ・)セフンがシュートをうまくゴールの枠へ放ってくれたので、僕は最後に押し込むだけでした」
 9月からAFCチャンピオンズリーグ(ACL)が開幕する関係で、本来ならば同20日に開催される第30節が、日本から出場する4チームだけ前倒しで行われた。消化試合数がひとつ多い暫定首位で、かつ7位の浦和までが勝ち点5ポイント差にひしめき合う。未曾有の大混戦と化しているからこそ、昌子は勝って兜の緒を締めた。
「首位に立ち続けるのは簡単じゃないのはよくわかっていますし、今シーズンは毎節ごとに首位のチームが変わっている状況で、ひとつ落とせば、と思うと本当に気が抜けない。何よりも最後に頂点に立っていないと、という思いが強いので」
 頼れるキャプテンの視線は中2日の過密日程で敵地・日産スタジアムへ乗り込む23日の次節へ、0-3の完敗とともに現時点における最後の黒星を喫している横浜F・マリノスとのリベンジマッチへすでに向けられている。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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