「私は栗山に投票しなかった。一方で川相が落ち資格を失うのはおかしい。選ぶ方に疑問あり」栗山英樹氏の殿堂入りと2票足りず“落選”の川相昌弘氏の資格喪失に球界重鎮が緊急提言!
川相氏は、犠打「533」の世界記録保持者で遊撃手としてゴールデングラブ賞を6度受賞している。現在、川相氏は巨人のコーチだが、ユニホームを脱ぐと、6か月以上経過後にエキスパート表彰の部門で資格が復活できる。原氏のようにプレーヤー表彰で殿堂入りを逃してエキスパート表彰で殿堂入りを果たした例もある。しかし、広岡氏は、今回の結果に納得はいっていない。
プレーヤー表彰は15年以上の野球報道経験のある記者による投票。川相氏は、2006年に引退しているため、もう現役時代を知る記者も少なくなっているのかもしれない。
一方でエキスパート表彰は、過去の殿堂入り者、競技者表彰委員会幹事、30年以上の野球報道経験のある記者による投票で、それぞれ有効投票数の75%以上の得票が必要となる。
米国にならい1959年に創設された日本の野球殿堂の選出の定義としては、表彰委員会規定の第1条(総則)に「日本野球の発展、振興、普及に多大な貢献を成した方々の功績を永久に讃える」とある。さらに第16条の「選考の要件」としてこう規定されている。
(1)試合で表現した記録、技術が優れている者
(2)所属チーム及び野球の発展に顕著な功績をあげた者
(3)野球に対し誠実であり、 スポーツマンシップを体現した者
(4)ファンに野球の魅力を伝えた者
そして「なお、完全試合の投球、未曽有の長距離本塁打、単年度の大記録、実働が短期間での活躍等をもって、野球殿堂入りとして選考してはならない」とのただし書きがある。
時代が変わり、メジャーへ挑戦する選手が増え、日本だけではなく、日米の活躍を含めた功績で評価することになっているが、曖昧な基準ではある。だからこそ、選ぶ側の見識と「見る目」が重要となるだろう。
ちなみにプレーヤー表彰の該当者なしは、2021年以来。この時はヤクルト、メジャーで活躍した高津臣吾氏が当選に10票足りなかった。高津氏は翌年に殿堂入りしている。
今年2月9日で94歳になる広岡氏ゆえの厳しい苦言。しかし、それは日本の殿堂の価値を下げずに野球界の発展につながればという願いに他ならない。
栗山氏は、こうも言っていた。
「子供の頃からプロ野球選手になるまでに出会った先輩方の言葉が凄く印象に残ったし、その言葉が、最後の最後まで諦めないで野球をやり続けた要因になっている。そういう接点を子どもたちにたくさん作ってあげたい。1人でも多く、野球に感謝して野球を広げてもらって、さらに野球の伝道師となる若い人たちに対して、自分のできることを精いっぱいこれからやっていきたい」
その意志こそは殿堂入りにふさわしいだろう。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)

