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阪神の村上頌樹が中日打線を2安打無四球完封してプロ初勝利を飾った(資料写真・黒田史夫)
阪神の村上頌樹が中日打線を2安打無四球完封してプロ初勝利を飾った(資料写真・黒田史夫)

なぜ阪神の村上頌樹は145キロで打たれないのか…G戦“7回完全”に続き中日戦を2安打10奪三振無四球完封で悲願のプロ初勝利

 幻の完全試合投手として話題を集めた阪神の村上頌樹(24)が21日、バンテリンドームでの中日戦に今季2度目の先発マウンドに上がり2安打10奪三振無四球の完封でプロ初勝利を飾った。12日の巨人戦では7回まで完全試合を続行しながらも、岡田彰布監督(65)の物議を呼ぶ交代劇で初勝利を逃していたが、この日は、再び5回一死まで完全試合を継続する素晴らしい投球内容。惜しくもルーキーの福永裕基(26)にヒットを許したが、指揮官は最後まで試合を任せ、105球の完封を成し遂げた。プロ入り3年目で覚醒した村上は、なぜ打たれないのか?

 5回一死まで完全試合を継続

 

 阪神にだって“村神様”がいる。
 虎ファンのざわめきが収まらなかった。
 12日の巨人戦で7回まで完全試合を継続。岡田監督が交替を決意して物議を呼んだ村上が、また完全試合を続行したのだ。
 1回は大島、岡林、アルモンテの左打者3人を三者連続三振。2、3、4回も3人ずつで片づける。4回には大島の三遊間を襲う打球を木浪が逆シングルで止めて一塁へ矢のような送球を送りアウトにするというファインプレーで盛り立て、記録への期待をさらに高めた。だが、村上は「そこ(記録)は意識せず一人一人を抑えるというイメージでやっていました」という。
 5回一死からルーキーの福永にセンター前ヒットを打たれた。村上は苦笑い。スポーツ各紙の報道によると、巨人戦での采配が賛否を呼んだ岡田監督は、「これでいつでも代えられると、ちょっとホッとした」と同時に「もう行ってしまうと思った」と完封の予感がしたという。
 村上は、動じることなく細川、加藤を抑えた。
 6回には、「あれが一番嬉しい」という右投げ左打ちの村上がレフト前へポトリと落ちるヒットで出塁、続く近本の右中間を深々と破るタイムリー三塁打でホームまで激走した。さらに中野の犠飛で追加点。村上がギアを入れ直した。
 8回に福永にまたセンター前ヒットを打たれたが、ここからが圧巻だった。細川を145キロの吊り球でスイングアウト、代打の木下を低めに落とすツーシームで空振りの三振、そして代打のアキーノを外角低めにコントロールした145キロのストレートで三振に斬ったのである。9回も三人でピシャリ。プロ初勝利を2安打無四球10奪三振の完封勝利で飾った村上は、少し控えめに右手でガッツポーズを作った。球数は105球。
 敵地でヒーローインタビューに指名された村上は「最高です」と、笑顔を浮かべ「なかなか勝利できなくて1軍でも登板が少なかったんですけど、やっとできてうれしいです」と言って小さく頭を下げた。
 完封の要因を聞かれ「無駄なランナー出さずに行けたことが完封につながったのかなと思います。一人一人しっかりと抑えていくイメージで、攻めのピッチングをしたいと思ったのでそれができてよかったです」と説明した。
 これで巨人戦の7回完全を含めて3試合17イニング無失点。なぜ村上は打たれないのか。昨年までファームのエースから脱皮できなかった村上の何がどう凄いのか。
 阪神で長年チーフスコアラーを務めてきた三宅博氏は「抜群のコントロールと、腕の柔らかさと、ボールのスピン量の誤差で打者が差し込まれるという点が大きいと思う」と分析した。

 

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