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今季限りで引退した“熱男”こと松田宣浩氏
今季限りで引退した“熱男”こと松田宣浩氏

引退した“熱男”松田宣浩氏が語る真実…なぜ巨人が2年連続のBクラスに沈み阪神が18年ぶりのアレを成し遂げたのか?

 今季限りで引退した元ソフトバンク、巨人の松田宣浩氏(40)の独占インタビュー。第1回では、引退の決断に至った理由と今季所属していた巨人がなぜ2年連続のBクラスに転落し、阪神が18年ぶりの優勝を成し遂げたかの見解を聞いた。

 5月17日の40歳の誕生日に半分引退を決めていた

 

 10月1日の“引退試合”から3か月が経過した。
 18年の現役生活にピリオドを打った“熱男”こと松田氏に「また野球がやりたくなっているのでは?」と聞くと、即座に「全然ないっすね」と完全否定した。
「若い頃に何度も40歳までプレーすると言っていて、実際、この目標を達成したので、僕の野球人生は完結したんです。もし39歳で、ホークス一筋で辞めていたら一生後悔の残る野球人生になっていた。今はもう燃えるものはありません」
 ストレスもなくなった。これまでは、オフになっても「頭の中で野球選手であることが抜け切らなかった」が、今は「気持ちが楽」だという。
 中京高―亜大を経て2005年に希望入団枠でソフトバンクに入団して以来、18年間で積み上げてきた数字は、通算1832安打、301本塁打、991打点という素晴らしいもの。打撃タイトルはなかったが、ベストナイン1度、ゴールデングラブ8度獲得。侍ジャパンの常連でもあり、WBCにも、2013、2017年と2度出場している。そしてなにより、出場した7度の日本シリーズで、すべて日本一になったというチーム貢献の実績が光る。
 2015年に“熱男”を襲名して以来、リーダーとしてチームを引っ張り、巨人をスイープした2019年の日本シリーズではMVPにも輝いている。
 その“熱男”も2022年のシーズン終盤にソフトバンクを事実上の戦力外となり、今季は巨人のユニホームを着た。キャンプにはファーストミットを持ち込み、開幕1軍に入ったが、原監督の代打起用に応えられず、今季12試合出場でヒットは、わずか1本に終わった。
「反射力、反応力が落ちたんです。短い距離のダッシュでは一番遅くなっていた。練習では頑張れるんですが、例えば守備でも試合でランダムに打たれ、鋭いライナーが飛ぶとグローブを出せずにボールが顔に当たるような感覚にさえなった。打撃でも練習では綺麗に打つが、試合でミックスされると、今まで捉えていたボールがファウルになったり詰まったりした」
 5月17日の40歳の誕生日をファームで迎えたとき「半分引退を決めた」という。
「その日を境に何かが変わったんです。それまでは、まだ現役でやりたい、しがみつきたいとの思いもあった。でも40歳を迎えてからは、毎日が楽しくなった。目標を達成したんだから、ここから先はプラスアルファで、好きな野球をやるだけだと、野球少年の気持ちになった。気が抜けたわけじゃないが違う心境になったんです」
 本当に引退を決意したのは9月1日の横浜から東京へと向かう車中だった。横浜スタジアムで行われた横浜DeNA戦の5回に代打として起用され左腕エース東のチェンジアップ3連投の前に三球三振に終わり、試合後、原監督から直接、「また頑張ってくれ」とファーム落ちを告げられた。
「もう気持ちは固まりました」
 ハマスタから都内へと車を走らせる間に気持ちを整理した。

 

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