「奇跡?天変地異が起きた」なぜ37歳の小國以載は井上尚弥と戦った元2団体統一王者タパレスを判定で下す”大番狂わせ”を起こせたのか…当日体重9キロ増の”油断”を見抜いたボディ攻撃
最初に右のボディストレートで動きを止めたのは5ラウンドだ。
ボディ攻撃に的を絞ったのは「当たるのはそれしかない。目がいいんで顔のパンチは当たらないし、深追いすると右フックを振ってくる。ジャブもグローブの上を打つだけで、相手の内側に入らないことを意識していた」という。
そして試合直前に入手した情報でその作戦に確信を得た。
タパレスが前日計量で30グラムオーバー。角海老陣営が再計量を行わずに試合を決行することに合意したため、タパレスはすぐにドリンクを口にしていた。そしてタパレスは、当日体重が、56.05キロから9キロも増えてウエルター級の65キロになっていたのだ。
「9キロですよ。こりゃ腹が効くなと」
一方の小國も58.5キロまで増量したが7キロの差あった。
小國は3階級上の選手と戦ったことになる。
パワーなら太刀打ちできない。だが、陣営の鈴木眞吾前会長は、「何をお腹に入っていたか知らないけど、それだけ急に食べればボディへのパンチは効きますと」とほくそえんだ。
阿部トレーナーは「タパレスが打ち合いにくるのはわかっていた。倒しにきてもこっちはいかない」という作戦を指示していた。
実際、タパレスは3ラウンド、4ラウンドと、激しいアクションで猛ラッシュをかけて倒しにきた。しかし、小國は、その嵐を過ぎ去るのを待ち、スタミナを消耗させた。
「パンチはありました。左より右。重いパンチ。でもスピードはない。そこはカシメロの方がありました。ハラハラで怖かったですが、ボディを打つまでに倒されたらそれがオレの実力」と開き直っていたという。
村田戦ではスタミナ配分に失敗した。
「おもしろくないかもしれないが勝ちに徹した」
タパレスをKOできるチャンスは2度、3度あったが、無理をせず自制した。
それこそが2016年12月に当時全試合KOで無敗だったIBF世界同級王者のジョナサン・グスマン(ドミニカ共和国)に挑み判定勝利で世界ベルトを巻き、元3階級制覇王者のジョンリル・カシメロ(フィリピン)らとも対戦してきた31戦のキャリアのたまものだろう。
シューズはミズノが発売した井上尚弥モデル。
「精神面で揺さぶった」
やれることは全部やった。

